大量吐血でショックを呈する患者への初期対応|第102回医師国家試験H26

第102回医師国家試験 H26(2008年)

正答:d

問題

40歳の男性。仕事中、大量に吐血して搬入された。意識は清明。体温36.1 ℃。脈拍120/分、整。血圧76/50 mmHg。顔面は蒼白。腹部は平坦、軟。上腹部に圧痛を認めるが、筋性防御は認めない。血液所見:赤血球260万、Hb 8.4 g/dl、Ht 26 %、白血球12,000、血小板23万。

対応として適切でないのはどれか。

a.酸素投与

b.静脈路確保

c.膀胱カテーテル挿入

d.上部消化管造影

e.上部消化管内視鏡検査

正答の理由

公式正答はdです。大量吐血に脈拍120/分、血圧76/50 mmHg、顔面蒼白、Hb 8.4 g/dlを伴い、出血性ショックを呈する上部消化管出血です。MSD ManualのOverview of Gastrointestinal Bleedingの項は、吐血を緊急事態として扱い、気道確保・輸液・輸血で循環を回復させながら上部内視鏡で診断と止血を行うとしたうえで、「上部消化管のバリウム造影は急性出血では役割がなく、使った造影剤はその後の血管造影の試みを妨げうる」と明記しています。したがってdが適切でない対応です。

各選択肢の検討

a.酸素投与。適切。MSD ManualのShockの項は、ショックの一般管理として気道と換気を評価し酸素飽和度に応じて酸素を投与することを挙げています。

b.静脈路確保。適切。同項は14〜16ゲージの太い静脈路2本を別々の末梢静脈に確保するとしており、出血性ショックの蘇生の基本です。

c.膀胱カテーテル挿入。適切。同項はショックのモニタリング項目に留置膀胱カテーテルによる尿量測定を挙げており、循環の回復を評価する指標になります。

d.上部消化管造影。適切でなく、これが正答。MSD Manualは急性出血でのバリウム造影には役割がなく、造影剤がその後の血管造影の妨げになりうるとしています。

e.上部消化管内視鏡検査。適切。MSD ManualのOverview of Gastrointestinal Bleedingの項は上部消化管出血では上部内視鏡を行うとし、診断だけでなく治療にもなるため出血が多いときは速やかに実施するとしています。

覚えるポイント

出血性ショックを伴う吐血では、酸素・太い静脈路・尿量モニタで蘇生しながら上部内視鏡で診断と止血を行い、バリウム造影は行わない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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