第102回医師国家試験 H10(2008年)
正答:a
問題
写真(別冊No. 3)は何をしているところか。
a.動脈血採血
b.動脈圧測定
c.静脈内注射
d.静脈血採血
e.静脈路確保

正答の理由
WHOの動脈血採血のジョブエイドは、手関節部で示指により橈骨動脈の拍動を確認し、その約1cm手前から注射器と針をダーツのように持って45度で刺入し、血液の逆流を確認して内筒を引かずに充填すると記している。写真は手袋を着けた手指で手関節掌側を触れながら、同部の皮膚に注射器の針を急角度で刺入し、注射器内が鮮紅色の血液で満たされている場面で、動脈血採血に一致する。
画像の見方
assets/102h/102h010-figure.png(1290×945ピクセル)で、被検者の前腕は手が画像左下、肘側が画像右にあり、手関節の掌側が上を向いている。下には淡青色のシーツが敷かれている。術者は両手とも白い手袋を着け、一方の手で注射器を把持し、もう一方の手の指を前腕から手関節掌側に並べて当てている(画面に写る指は4本で、針はそのうち2本の間を通る)。注射器は針基を頂点とするV字に見え、画像左上へ延びる筒は鮮紅色に満ち、その後端に濃色の帯(押子)がある。画像右上へ延びる橙色でひだのある部品は針基に付いた樹脂製の部品で、筒の目盛りの数値は判読できない。露出した針は(566,406)から(629,512)まで直線状に見え、画像の水平方向に対して約60度の傾きである。針先はその位置で術者の指の縁と指の間の陰になる部分に達しており、皮膚に入った後か刺入の直前かは写真だけでは判別できない。駆血帯、真空採血管ホルダー、留置針、延長チューブ、圧トランスデューサはいずれも写っていない。注射器がヘパリン加血液ガス用かどうかも写真からは決められない。写真は2次元で、前腕の長軸も画像の水平とは一致しないため、実際の刺入角はこの測定値からは決まらない。
各選択肢の検討
a.手関節掌側で拍動を触れながら急角度で刺入し、注射器に鮮紅色の血液が満ちている所見は、橈骨動脈穿刺による動脈血採血の手技に一致する。正答。
b.動脈圧の持続測定には動脈留置カテーテルと圧ラインが必要だが、写真にはカテーテルも圧トランスデューサも延長チューブも写っていない。
c.静脈内注射であれば薬液を体内へ押し入れる場面になるはずだが、写真では注射器内に血液が入っており、注入ではなく採取の場面である。
d.静脈採血では駆血帯を巻いて穿刺するが、写真に駆血帯はなく、刺入角度も急である。
e.静脈路確保では留置針と輸液ルートを用いるが、写真に写っているのは注射器と注射針だけである。
覚えるポイント
動脈血採血は駆血せず、拍動を触れながら急角度で刺入し、注射器が自然に満たされる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- Practical guidance on arterial blood sampling(WHO guidelines on drawing blood: best practices in phlebotomy 付属ジョブエイド)
- Practical guidance on venepuncture for laboratory testing(WHO guidelines on drawing blood: best practices in phlebotomy 付属ジョブエイド)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。