医の倫理(ヘルシンキ宣言・ジュネーブ宣言・リスボン宣言)|第102回医師国家試験H1

第102回医師国家試験 H1(2008年)

正答:a

問題

医の倫理として誤っているのはどれか。

a.医学研究の科学的および社会的利益は被験者の福利よりも優先される。

b.人類の健康を向上させるために医師の知識と良心を捧げる。

c.患者は宗教的支援を受ける権利、拒絶する権利を有する。

d.医学研究においては被験者の自発的同意が必須である。

e.社会制度が違っても基本的人権を守る。

正答の理由

ヘルシンキ宣言は、医学研究の目的が「個々の研究参加者の権利および利益よりも優先されることがあってはならない」と明記している。aは科学的・社会的利益を被験者の福利の上に置いており、この原則と逆であるため誤り。b・c・d・eはいずれもジュネーブ宣言(医師の誓い)、リスボン宣言、ヘルシンキ宣言の記載に沿う。なお日本医師会が掲載するヘルシンキ宣言は2024年改訂版であり、出題時(2008年)のソウル改訂版も被験者の福利を科学と社会の利益に優先させる点は同じである。

各選択肢の検討

a.医学研究の科学的・社会的利益が被験者の福利より優先されるとする記述。ヘルシンキ宣言は研究目的が個々の研究参加者の権利・利益より優先されてはならないと定めており、優先順位が逆で誤り。

b.ヘルシンキ宣言4は患者の健康・ウェルビーイング・権利を守ることを医師の義務とし「医師の知識と良心はこの義務の遂行に捧げられる」と述べ、ジュネーブ宣言も「人類への奉仕に自分の人生を捧げる」「良心と尊厳をもって専門職を実践する」と誓わせており、記述は正しい。

c.リスボン宣言11「宗教的支援に対する権利」は、聖職者による支援を含む精神的・道徳的慰問を受けるか受けないかを患者が決める権利を認めており、正しい。

d.ヘルシンキ宣言25は、同意能力のある個人の研究参加は自発的でなければならず、本人の自由意思による同意なしに登録できないとしており、正しい。

e.ジュネーブ宣言は、信条・民族的起源・国籍・社会的地位などへの配慮が職責と患者の間に介在することを容認せず、脅迫下でも人権や自由を侵すために医学知識を用いないと誓わせており、正しい。

覚えるポイント

ヘルシンキ宣言の根幹は、研究参加者個人の権利・利益が科学と社会の利益に優先することである。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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