第102回医師国家試験 G17(2008年)
正答:c・d
問題
PaO2が正常でも組織低酸素をきたすのはどれか。2つ選べ。
a.肝不全
b.腎不全
c.循環不全
d.一酸化炭素中毒
e.高二酸化炭素血症
正答の理由
公式正答はc・dです。組織が低酸素になる経路は、肺でのガス交換の障害だけではありません。ショックは「急性循環不全による組織低灌流で、組織への酸素供給が不足し細胞の機能障害と傷害を生じる状態」と定義され、肺が正常でPaO2が保たれていても組織は酸素不足になります。一酸化炭素中毒では、COがヘモグロビンと結合して酸素運搬能を奪いますが、血液ガスで報告される酸素飽和度は溶存酸素から計算されるためカルボキシヘモグロビン濃度の影響を受けず、パルスオキシメータも正常ヘモグロビンとCO-Hbを区別できません。つまりPaO2は正常のまま組織低酸素が進みます。
各選択肢の検討
a.肝不全。誤り。PaO2が正常のまま組織低酸素をきたす機序として挙げられていません。
b.腎不全。誤り。同様に、PaO2が正常のまま組織低酸素を生じる機序としては挙げられていません。
c.循環不全。正しい。ショックは急性循環不全による組織低灌流で、酸素供給の不足から細胞の機能障害と傷害が起こる状態と定義されます。
d.一酸化炭素中毒。正しい。血液ガスの酸素飽和度は溶存酸素を反映するためCO-Hb濃度に影響されず、PaO2が正常でも酸素運搬能が失われます。診断には血液ガスやパルスオキシメータではなくCO-oximeterでのカルボキシヘモグロビン測定が必要です。
e.高二酸化炭素血症。誤り。換気不全で生じる病態で、診断の指標はPCO2の上昇と呼吸性アシドーシス(pH<7.35、PCO2>50)です。PaO2が正常のまま組織への酸素供給を妨げる機序としては挙げられていません。
覚えるポイント
組織低酸素はPaO2だけで決まらない。運搬能の障害(一酸化炭素中毒・貧血)と灌流の障害(循環不全・ショック)はPaO2正常でも起こる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- Shock – MSD Manual Professional Edition
- Carbon Monoxide Poisoning – MSD Manual Professional Edition
- Ventilatory Failure – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。