心タンポナーデの身体所見|第102回医師国家試験G1

第102回医師国家試験 G1(2008年)

正答:d

問題

心タンポナーデでみられないのはどれか。

a.奇脈

b.頻脈

c.脈圧低下

d.肺うっ血

e.頸静脈怒張

正答の理由

公式正答はdです。心タンポナーデは心嚢液が心室の拡張期充満を妨げる病態で、心拍出量低下・低い全身動脈圧・頻脈・呼吸困難を示し、そこに著明な頸静脈怒張と奇脈(吸気時に収縮期血圧が10mmHgを超えて低下する)が加わります。低血圧はしばしば脈圧の狭小を伴います。一方、心嚢液は左右両心室の拡張を同じように妨げるので左房圧だけが突出して上がる病態ではなく、心嚢液貯留の胸部エックス線の古典像は「心陰影の拡大+清明な肺野(water bottle sign)」です。したがって肺うっ血はみられません。

各選択肢の検討

a.奇脈。みられる。重症の心タンポナーデでは吸気時に収縮期血圧が10mmHgを超えて低下する奇脈をほぼ必発に認め、10mmHgを超える奇脈は感度82%と最も感度の高い身体所見と報告されています。

b.頻脈。みられる。心拍出量の低下を代償して頻脈となり、感度は77%と報告されています。心原性ショックに似た所見を呈します。

c.脈圧低下。みられる。Beckの三徴として挙げられる低血圧は「しばしば脈圧の狭小を伴う」と記載されています。1回拍出量が減るためです。

d.肺うっ血。みられない、これが正答。心嚢液貯留の胸部エックス線の古典像は心陰影の拡大と清明な肺野であり、肺うっ血は左心系の充満圧だけが上がる左心不全の所見です。

e.頸静脈怒張。みられる。静脈圧の上昇により頸静脈は著明に怒張し、感度は76%と報告されています。

覚えるポイント

心タンポナーデは「低血圧(脈圧狭小)・頻脈・心音減弱」+頸静脈怒張+奇脈。胸部エックス線は心陰影拡大と清明な肺野で、肺うっ血は左心不全の所見。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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