第102回医師国家試験 F27(2008年)
正答:b
問題
19歳の女性。5日前からの嘔気と嘔吐とを主訴に来院した。
現病歴:症状は早朝と空腹時とに悪化する傾向がある。下痢や腹痛はない。
既往歴・生活歴:特記すべきことはない。最終月経は35日前から5日間。
現症:意識は清明。身長162 cm、体重58 kg。体温36.8 ℃。脈拍72/分、整。血圧102/68 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛や抵抗を認めない。
検査所見:血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。
嘔気と嘔吐とが改善しないため1週後再受診した。意識は清明。体重56 kg。体温37.2 ℃。脈拍108/分、整。血圧92/60 mmHg。皮膚と口腔粘膜とは乾燥している。甲状腺に腫大と圧痛とを認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛や抵抗を認めない。
最も考えられるのはどれか。
a.貧血
b.脱水
c.肺水腫
d.腸閉塞
e.胃食道逆流
正答の理由
1週間で体重が58 kgから56 kgへ減り、脈拍は72から108/分へ増え、血圧は102/68から92/60 mmHgへ下がり、皮膚と口腔粘膜が乾燥しています。嘔吐が続いて水分・食事を十分にとれないときの所見で、MSDも妊娠悪阻の特徴として頻脈・口腔乾燥・口渇などの脱水徴候、ケトン尿、体重減少を挙げています。公式正答はbです。
各選択肢の検討
a.貧血。誤り。初診時の血液所見に異常がなく、1週間でこの変化を説明する出血や溶血をうかがわせる所見もありません。
b.脱水。正しい。体重減少、頻脈、血圧低下、皮膚・口腔粘膜の乾燥がそろっています。輸液と電解質の補正が必要です。
c.肺水腫。誤り。呼吸音に異常がなく、呼吸困難や起坐呼吸の記載もありません。
d.腸閉塞。誤り。腹部は平坦・軟で、腹部膨隆や鼓音、圧痛、腸雑音の異常といった所見がありません。
e.胃食道逆流。誤り。胸やけや呑酸の記載がなく、頻脈・血圧低下・体重減少を説明できません。
覚えるポイント
嘔吐が続く患者では、体重・脈拍・血圧・皮膚粘膜の乾燥で脱水を評価する。妊娠悪阻では尿ケトンと電解質も確かめる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Nausea and Vomiting During Early Pregnancy
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。