労作性狭心症の胸痛|第102回医師国家試験F10

第102回医師国家試験 F10(2008年)

正答:d

問題

労作性狭心症で正しいのはどれか。

a.発作は空腹時に起こる。

b.痛みは呼吸で変動する。

c.痛みは数秒間持続する。

d.痛みは頸部や肩に放散する。

e.針で刺すような痛みである。

正答の理由

MSDマニュアルは狭心症の不快感について、胸骨下に最も多く感じられ、左肩から左上肢の内側や指先、背部、咽頭・顎・歯などに放散しうると記載しています。心筋虚血の痛みが頸部や肩へ放散するのは典型的な所見です。公式正答はdです。

各選択肢の検討

a.発作は空腹時に起こる。誤り。狭心症は心筋酸素需要が供給を上回ったときに生じ、労作や強い情動で誘発されます。MSDマニュアルは食後の労作ではむしろ症状が増強するとしており、空腹時に起こる発作ではありません。

b.痛みは呼吸で変動する。誤り。MSDマニュアルが挙げる典型的狭心症の特徴は、胸骨下の部位、運動や精神的ストレスによる増悪、ニトログリセリンによる軽快の3点で、呼吸による変動は含まれません。同マニュアルの胸痛の項でも、呼吸や嚥下・体位で増悪する痛みは心膜炎や胸膜炎の所見として挙げられ、狭心症は労作や精神的ストレスと一貫して結びつく痛みとされています。ただし呼吸や体動での増悪そのものは原因部位に特異的ではないとも注意されています。

c.痛みは数秒間持続する。誤り。MSDマニュアルは虚血症状の消退には1分以上を要するため、それより短い一過性の感覚が狭心症であることはまれだとしています。発作は通常数分で、安静により軽快します。

d.痛みは頸部や肩に放散する。正しい。左肩・左上肢内側のほか、咽頭、顎、歯、背部へ放散しうるとMSDマニュアルは記載しています。

e.針で刺すような痛みである。誤り。MSDマニュアルは、漠然とした鈍い痛みから前胸部の強い圧迫感まで幅があり「痛み(pain)と表現されることはまれ」としています。限局した刺すような痛みは狭心症らしくない所見です。

覚えるポイント

労作性狭心症は労作で誘発され数分続く胸骨下の圧迫感で、頸部・顎・肩・上肢に放散する。数秒の刺すような痛みや呼吸性変動は非典型。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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