離人・現実感消失の症状|第102回医師国家試験E51

第102回医師国家試験 E51(2008年)

正答:c

問題

25歳の男性。大学院に在籍し毎日研究に励んでいるが、ここ半年思うようにはかどらず焦っていた。最近、何をやっても実感がわかず、自分の体さえ自分のものであるという感覚がない。町並みも人々も妙によそよそしく現実感がないように感じられる。

症状はどれか。

a.錯覚

b.妄想

c.離人

d.両価性

e.感情鈍麻

正答の理由

「自分の体さえ自分のものである感覚がない」は自分自身からの乖離、「町並みも人々も現実感がない」は周囲からの乖離です。MSDマニュアルは、自分の身体・心・感情・感覚から切り離された感じ(離人)と、周囲から切り離されて周囲が非現実的に感じられる状態(現実感消失)を離人感・現実感消失症の中核症状として記載し、患者は自分の人生を外から眺める観察者のように感じると述べています。また、こうした患者は自分の体験が現実でないことを常に理解しており現実検討は保たれている、としています。本例は知覚の誤りや確信的な誤った信念ではなく、まさにこの離人の訴えです。公式正答はcです。

各選択肢の検討

a.錯覚。誤り。錯覚は実在する対象を誤って知覚する現象です。本例は知覚そのものの誤りではなく、知覚が保たれたまま現実感が失われています。

b.妄想。誤り。MSDは妄想を、明らかに矛盾する証拠があっても保持される誤った確信と定義しています。本例は自分の体験が現実でないと自覚しており、現実検討は保たれています。

c.離人。正しい。自分の身体や心から切り離された感じと、周囲が非現実的に感じられる現実感消失が、MSDの離人感・現実感消失の記載そのものです。

d.両価性。誤り。同じ対象に対して相反する感情や意欲が同時に存在する状態を指す用語で、本例の訴えとは別のものです。

e.感情鈍麻。誤り。感情の平板化は統合失調症の陰性症状として挙げられる、感情表出そのものが乏しくなる状態です。本例は感情が乏しいのではなく、体験の現実感が失われています。

覚えるポイント

「自分の体が自分のものでない」+「周囲に現実感がない」=離人・現実感消失。現実検討が保たれている点で妄想と区別する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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