Leser-Trélat徴候(多発性脂漏性角化症)と背景疾患|第102回医師国家試験E44

第102回医師国家試験 E44(2008年)

正答:a

問題

66歳の男性。皮疹を主訴に来院した。3か月前から体幹に軽度の瘙痒を伴う皮疹が多発してきた。体幹の写真(別冊No. 2A)と皮疹の拡大像(別冊No. 2B)とを別に示す。

基礎疾患として最も考えられるのはどれか。

a.胃癌

b.肺気腫

c.肝硬変

d.慢性腎炎

e.サルコイドーシス

別冊No. 2A 高齢男性の体幹前面の写真。頸部下方から臍の下までが写り、胸部正中から上腹部にかけて褐色の小さな丘疹が多数散在している。
別冊No. 2A / 出典:厚生労働省・第102回E別冊(原本の該当ページ)
別冊No. 2B 皮疹の拡大像。褐色で円形から楕円形、境界明瞭でわずかに隆起した丘疹が大小さまざまに多数みられる。
別冊No. 2B / 出典:厚生労働省・第102回E別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

写真は体幹に褐色の小さな角化性の丘疹が多数ある像で、拡大像では円形〜楕円形で境界明瞭、表面がざらついた褐色の丘疹が集まっています。MSDマニュアルは脂漏性角化症について、黄褐色〜褐色・黒色で「貼り付けたような」外観をとり、疣状・ビロード状・蝋様・鱗屑性または痂皮様の表面をもつと記し、さらに「大きい、多発する、あるいは急速に増加する脂漏性角化症は、ある種の癌(例:リンパ腫、消化器癌)に伴う皮膚の傍腫瘍症候群(Leser-Trélat徴候)でありうる」と述べています。本例は3か月で体幹に多発しており、この記載に合致します。選択肢のうち悪性腫瘍で、かつMSDが挙げる消化器癌に当たるのは胃癌だけです。公式正答はaです。

画像の見方

2A:体幹前面(頸部下方〜臍下)の写真。写真領域内で背景より暗い個別の斑点を連結成分で数えると、総数は検出しきい値によって約460〜1,300個と大きく変わるため絶対数は当てにならないが、横方向に3等分したときに中央1/3が占める割合は、しきい値を変えても個数で64〜82%、病変面積で70〜81%と安定して多い(中間のしきい値では838個中602個=72%、患者右側1/3に121個、患者左側1/3に115個)。すなわち胸部正中から上腹部にかけて密である。上肢近位にもまばらにみられる。水疱・潰瘍・鱗屑の剥離は認めない。2B:拡大像では褐色〜暗褐色で円形〜楕円形、境界明瞭、周囲皮膚からわずかに隆起した丘疹が大小混在する。尺度(スケールバー)が付されていないため実寸は判定できない。色調から色素を含む角化性病変と読めるが、組織学的性状は写真だけでは断定できない。

各選択肢の検討

a.胃癌。正しい。MSDがLeser-Trélat徴候の背景として挙げるのはリンパ腫と消化器癌で、選択肢の中ではこれに当たるのは胃癌です。

b.肺気腫。誤り。悪性腫瘍ではなく、MSDがLeser-Trélat徴候の背景として挙げる疾患に含まれません。

c.肝硬変。誤り。悪性腫瘍ではなく、Leser-Trélat徴候の背景疾患としては記載されていません。

d.慢性腎炎。誤り。悪性腫瘍ではなく、脂漏性角化症の急速な多発と結び付ける記載はありません。

e.サルコイドーシス。誤り。肉芽腫性疾患で、Leser-Trélat徴候の背景として挙げられていません。

覚えるポイント

短期間に体幹へ多発する脂漏性角化症=Leser-Trélat徴候。背景にリンパ腫や消化器癌(胃癌など)の悪性腫瘍を探す。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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