第102回医師国家試験 E38(2008年)
正答:a・c
問題
9歳の女児の写真(別冊No. 1)を別に示す。
考えられるのはどれか。2つ選べ。
a.下垂体腺腫
b.甲状腺機能亢進症
c.副腎腺腫
d.褐色細胞腫
e.Addison病

正答の理由
写真は顔が丸く張り、両頬が強く赤い顔貌です。MSDマニュアルはCushing症候群の典型として「満月様顔貌」と「多血様(plethoric)の顔貌」、体幹性肥満を挙げ、小児では直線的成長の停止が特徴であるとしています。Cushing症候群の病因はACTH依存性(下垂体のACTH過剰産生によるCushing病、異所性ACTH産生腫瘍、外因性ACTH投与)とACTH非依存性(グルココルチコイド投与、副腎腺腫・副腎癌)に大別されます。選択肢のうちCushing症候群を起こしうるのは下垂体腺腫と副腎腺腫の2つで、公式正答はa、cです。
画像の見方
正面顔写真。目隠しの黒帯のすぐ下(画像上端から764px)から下顎下端までの顔面を画素で測ると、顔面皮膚の連続した幅が最大で約500px、黒帯下端から下顎下端までの高さが約485px(縦横比1.03)で、縦横がほぼ等しい丸い輪郭である。両頬(左右対称な位置、各80×70px)の平均色はR−G=87.8および89.3であるのに対し、同じ大きさで測ったオトガイ部はR−G=63.4、下顎縁に沿う頬下部は左右ともR−G=60前後で、頬が明らかに赤い(顔面皮膚全体を60px四方の区画で走査するとR−G=27〜93で、最高値は両頬にある)。オトガイ下から頸部にかけて脂肪の厚みがあり、輪郭が二重にみえる。目は黒帯で隠され、眼球突出や眼瞼の所見は判定できない。体幹は白いシャツに覆われており、体型・皮膚線条・多毛の有無は写真からは判定できない。
各選択肢の検討
a.下垂体腺腫。正しい。下垂体腺腫からのACTH過剰産生によるCushing病で、MSDはCushing病の患者はほぼ常に下垂体の小さな腫瘍をもつと述べています。
b.甲状腺機能亢進症。誤り。MSDが挙げる症状は神経過敏・動悸・多汗・暑がり・食欲増加を伴う体重減少などで、満月様顔貌をきたす病態としては挙げられていません。
c.副腎腺腫。正しい。ACTH非依存性のCushing症候群の原因として副腎腺腫・副腎癌が挙げられています。
d.褐色細胞腫。誤り。MSDは持続性または発作性の高血圧を主徴とし、発作時以外の身体所見は高血圧以外はふつう正常であると述べており、満月様顔貌は挙げられていません。
e.Addison病。誤り。原発性副腎皮質機能低下症では皮膚・粘膜の色素沈着、脱力、易疲労感、起立性低血圧が特徴で、コルチゾール過剰による満月様顔貌とは逆の病態です。
覚えるポイント
満月様顔貌+顔面の多血様紅潮はCushing症候群。原因はACTH依存性(下垂体腺腫=Cushing病、異所性ACTH)とACTH非依存性(副腎腺腫・副腎癌、ステロイド投与)に分ける。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- Cushing Syndrome – Endocrinology – MSD Manual Professional Edition
- Hyperthyroidism – Endocrinology – MSD Manual Professional Edition
- Pheochromocytoma – Endocrinology – MSD Manual Professional Edition
- Primary Adrenal Insufficiency (Addison Disease) – Endocrinology – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。