切除不能な膵体部癌の治療|第102回医師国家試験D39

第102回医師国家試験 D39(2008年)

正答:a・c

問題

57歳の女性。背部痛を主訴に来院した。3か月前からの背部痛が徐々に増強している。臍上部に径約5cmの硬い腫瘤を触知する。腹部造影CT(別冊No. 12)を別に示す。

治療として適切なのはどれか。2つ選べ。

a.抗癌化学療法

b.動脈塞栓術

c.放射線治療

d.膵頭十二指腸切除

e.膵体尾部切除

別冊No. 12 上腹部の造影CT横断像。膵体部に相当する部位に周囲より造影効果の乏しい腫瘤があり、大動脈から左へ走る動脈に上側から広く接している。
別冊No. 12 / 出典:厚生労働省・第102回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

公式正答はa・cです。徐々に強まる背部痛と臍上部の硬い腫瘤があり、造影CTでは膵体部に相当する部位に造影効果の乏しい腫瘤があって、大動脈から分かれて左へ走る動脈(腹腔動脈〜脾動脈に相当)に、その走行に沿って広く接しています。膵癌の約80〜90%は診断時に切除不能で、その理由は遠隔転移か主要血管への浸潤です。主要動脈を巻き込む局所進行例では切除の適応がなく、化学療法と放射線治療(化学放射線療法)が治療の柱になります。

画像の見方

椎体の前に大動脈が円形の強い造影域として描出され、そこから腹側・左方へ動脈(腹腔動脈〜脾動脈に相当)が分岐している。この動脈の上側に、膵体部に相当する位置で境界の不明瞭な腫瘤があり、動脈の走行に沿って広く接している。腫瘤の濃度は肝実質・腎実質より明らかに低く、造影効果が乏しい。本断面では動脈の下側に腫瘤は及んでいない。肝・両腎・胃・十二指腸・脾も描出されている。本断面では肝内の明らかな転移巣や腹水は指摘できない。横断1枚のみで、しかも動脈がこの断面内を走っているため、血管を取り巻く角度や腫瘤の全体像は定量できない。

各選択肢の検討

a.抗癌化学療法。正しい。切除できない膵癌の治療の中心で、全身療法として行います。

b.動脈塞栓術。誤り。肝細胞癌などで用いる治療で、膵癌の標準的な治療ではありません。

c.放射線治療。正しい。遠隔転移のない局所進行例では、化学療法と組み合わせた化学放射線療法が選択肢になります。

d.膵頭十二指腸切除。誤り。膵頭部の腫瘍に対する術式で、本例の膵体部の腫瘍には合いません。主要動脈を巻き込んでいる点でも切除の適応に乏しいです。

e.膵体尾部切除。誤り。部位は合いますが、腫瘤が腹腔動脈〜脾動脈に走行に沿って広く接しており、切除可能な病変とはいえません。

覚えるポイント

膵癌は主要血管への浸潤があれば切除不能。局所進行例は化学療法と放射線治療(化学放射線療法)で対応する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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