第102回医師国家試験 D29(2008年)
正答:c・e
問題
52歳の女性。1か月前からの腹部膨満を主訴に来院した。腹部は膨隆し、圧痛を認めない。超音波検査で腹水様所見があり、穿刺でゼリー状の液を吸引した。
原発臓器として考えられるのはどれか。2つ選べ。
a.胃
b.小腸
c.虫垂
d.副腎
e.卵巣
正答の理由
公式正答はc・eです。腹腔にゼリー状(膠様)の粘液が大量にたまる病態は腹膜偽粘液腫で、粘液産生腫瘍が破れて腹腔内に広がって起こります。原因として挙げられるのは虫垂の粘液性腫瘍の破裂が典型で、そのほか卵巣の粘液性腫瘍など消化管・卵巣の粘液性腫瘍が原因になります。なお近年は、卵巣にみえる病変の多くが虫垂原発の二次性病変であるとする見方が強く、純粋に卵巣原発といえる例は限られるという議論があります。
各選択肢の検討
a.胃。誤り。粘液を産生する胃癌の腹膜播種は起こりますが、ゼリー状の粘液が大量にたまる腹膜偽粘液腫の原発として挙げられるのは虫垂・卵巣の粘液性腫瘍が中心です。
b.小腸。誤り。小腸に粘液性嚢胞腫瘍はまれで、腹膜偽粘液腫の原発臓器として挙げられていません。
c.虫垂。正しい。虫垂の粘液性腫瘍(粘液嚢胞腺腫・粘液性腺癌)の破裂が腹膜偽粘液腫の典型的な原因です。
d.副腎。誤り。副腎は粘液を産生する上皮性腫瘍を作らず、原発臓器になりません。
e.卵巣。正しい。卵巣の粘液性嚢胞腺腫・粘液性癌、成熟嚢胞奇形腫の悪性転化などが原因として挙げられています。
覚えるポイント
穿刺でゼリー状の液=腹膜偽粘液腫。原発は虫垂と卵巣の粘液性腫瘍。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。