健常成人の身体診察所見|第102回医師国家試験C7

第102回医師国家試験 C7(2008年)

正答:c

問題

健常成人で正しいのはどれか。

a.心尖拍動は前腋窩線で触知する。

b.坐位で内頸静脈の拍動がみられる。

c.収縮期血圧は上肢よりも下肢が高い。

d.Ⅱ音は呼気時に分裂して聴取される。

e.Ⅲ音はベル型聴診器よりも膜型聴診器で聴取しやすい。

正答の理由

足関節上腕血圧比(ABI)は足関節の収縮期血圧を上腕の収縮期血圧で割った値で、正常範囲は1.00〜1.40です。すなわち健常成人では下肢の収縮期血圧が上肢と同じか高くなります。0.90以下は下肢閉塞性動脈疾患の診断となります。公式正答はcです。

各選択肢の検討

a.心尖拍動は前腋窩線で触知する。誤り。健常成人の心尖拍動は第4〜第5肋間で鎖骨中線のすぐ内側に触れます。びまん性となって下外側へ偏位するのは左室が拡大・肥大したときの所見で、健常成人で前腋窩線まで外側にずれることはありません。

b.坐位で内頸静脈の拍動がみられる。誤り。頸静脈は上体を45度起こした体位で観察し、静脈柱の上端は健常では鎖骨のすぐ上(胸骨切痕から垂直に4cmが正常上限)にとどまります。静脈柱の上端が坐位や立位でなければ確認できないほど高くなるのは、右心不全や体液過剰などで静脈圧が著しく上昇したときの所見で、健常成人の所見ではありません。

c.収縮期血圧は上肢よりも下肢が高い。正しい。ABIの正常範囲は1.00〜1.40で、足関節の収縮期血圧は上腕と同等かそれ以上になります。

d.Ⅱ音は呼気時に分裂して聴取される。誤り。生理的なⅡ音の分裂は吸気時です。胸腔内圧が下がって右室への流入が増え、肺動脈弁の閉鎖が遅れるためです。呼気時に分裂し吸気時に単一化するのは奇異性分裂(左脚ブロック、大動脈弁狭窄など)という異常所見です。

e.Ⅲ音はベル型聴診器よりも膜型聴診器で聴取しやすい。誤り。Ⅲ音を含む拡張期の過剰心音は低調で、低い音はベル型で最もよく聞こえます。ベル型は強く押しつけず軽く当てるのがこつです。

覚えるポイント

ABIの正常は1.00〜1.40(下肢≧上肢)。心尖拍動は第4〜5肋間・鎖骨中線のすぐ内側。Ⅱ音の生理的分裂は吸気時、Ⅲ音・Ⅳ音は低調でベル型。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第102回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました