脊髄損傷患者の褥瘡と在宅支援の選択|第102回医師国家試験B41

第102回医師国家試験 B41(2008年)

正答:e

問題

74歳の男性。殿部の潰瘍を主訴に来院した。3か月前から殿部に潰瘍ができている。20年前に水泳の飛び込みで頚部を損傷し、C7以下に麻痺がある。日中は自宅で電動車椅子を自ら運転し、坐位で生活をしている。殿部の写真(別冊No. 3)を別に示す。

適応とならないのはどれか。

a.訪問診療

b.訪問看護

c.在宅介護

d.訪問リハビリテーション

e.特別養護老人ホーム入所

成人の殿部の写真。白色に浸軟した輪に囲まれた類円形の潰瘍があり、底は淡紅色で一部に鮮紅色の部分がある。周囲の皮膚は褐色調で、手袋をした指が潰瘍の上方を指し示している。
別冊No. 3 / 出典:厚生労働省・第102回B別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

C7以下に麻痺のある74歳男性で、坐位中心の生活による圧迫が関与すると考えられる慢性の潰瘍(褥瘡)が殿部にできています。日中は電動車椅子を自ら操作して自宅で生活できており、在宅療養が成立しています。この状況では、創の処置と全身管理を行う訪問診療、創処置・除圧やスキンケアの指導を行う訪問看護、日常生活の介助としての在宅介護、車椅子上の除圧動作や移乗の訓練を行う訪問リハビリテーションのいずれも適応があります。一方、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、身体上または精神上著しい障害のため常時の介護を必要とし、かつ居宅でこれを受けることが困難な者を対象とする施設で、この患者には当てはまりません。公式正答はeです。

画像の見方

別冊PDFの物理3ページ左半(別冊3ページ)。切り出した983×696pxの画像で写真領域はx=36〜822、y=91〜680(787×590px)。白色調に浸軟した輪を含む病変はx≈407〜563、y≈437〜553にあり、横径約156px=写真幅の約20%、中心は写真の左端から約57%・上端から約68%の位置にある。輪の内側の上皮が欠けた部分はx≈427〜543、y≈457〜517で、底は淡紅色、上縁沿いに鮮紅色の部分がある。周囲の皮膚は褐色調で、左上方からゴム手袋をした指が病変の上方を指している。深さ・ポケットの有無・骨露出の有無は写真からは判定できない。写真に外陰部は写っていない。

各選択肢の検討

a.訪問診療。誤り(適応となる)。通院が負担になる在宅患者に計画的に訪問して褥瘡の評価・処置と全身管理を行う形態で、本例に適します。

b.訪問看護。誤り(適応となる)。創部の洗浄・被覆、除圧やスキンケア、感染徴候の観察を在宅で継続でき、褥瘡管理の中心になります。

c.在宅介護。誤り(適応となる)。清潔保持や排泄の介助を在宅で受けることは、褥瘡の悪化予防に直接つながります。

d.訪問リハビリテーション。誤り(適応となる)。車椅子上でのプッシュアップなど除圧動作や移乗動作の訓練は、坐位生活者の褥瘡の再発予防に有用です。

e.特別養護老人ホーム入所。正しい(これが正答=適応とならない)。特別養護老人ホームは身体上または精神上著しい障害のため常時の介護を必要とし、かつ居宅でこれを受けることが困難な者を対象とする施設で、電動車椅子で自立した在宅生活を送れている本例は対象になりません。

覚えるポイント

在宅生活が成り立っている脊髄損傷患者の褥瘡は在宅サービスで管理し、特別養護老人ホームは「居宅で常時の介護を受けることが困難な者」が対象である。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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