第102回医師国家試験 B29(2008年)
正答:d・e
問題
地球温暖化で危惧されるのはどれか。2つ選べ。
a.寒帯地域での白内障の増加
b.温帯地域での皮膚癌の増加
c.発展途上国での循環器疾患の増加
d.マラリア感染危険地域の高緯度への拡大
e.温帯地域で熱中症に罹患する高齢者の増加
正答の理由
公式正答はd・eです。WHOは、気候変動により複数の媒介動物が分布する緯度・標高の範囲を広げており、温暖化が進めばこの傾向が続くとしています。マラリアもこうした媒介動物感染症の一つで、危険地域が高緯度側へ広がることが懸念されます。また暑熱による熱ストレスの増加で、とくに高齢者の熱中症リスクが増すと予測されています。
各選択肢の検討
a.寒帯地域での白内障の増加。誤り。白内障の増加はフロン等によるオゾン層破壊で地表に届くUV-Bが増えることによる健康影響で、温暖化そのものの影響とは区別します。
b.温帯地域での皮膚癌の増加。誤り。皮膚がんも紫外線(UV-B)の増加による健康影響であり、オゾン層破壊の問題です。
c.発展途上国での循環器疾患の増加。誤り。途上国で循環器疾患が増えている主因は食生活や身体活動の変化、都市化と高齢化に伴う疾病構造の転換です。温暖化の健康影響として典型的に挙げられるのは暑熱による健康被害と媒介動物感染症の拡大で、d・eに比べて温暖化に固有の影響とはいえません。
d.マラリア感染危険地域の高緯度への拡大。正しい。WHOは、すでに複数の媒介動物が分布する緯度・標高の範囲を広げており、温暖化が続けばこの傾向も続くとしています。国内でも、現在は生息が確認されていない北海道南部までヒトスジシマカの生息が拡大する可能性が評価されています。
e.温帯地域で熱中症に罹患する高齢者の増加。正しい。気温上昇により熱ストレスが増加し、特に高齢者の熱中症リスクが増加すると予測されています。
覚えるポイント
温暖化の健康影響は熱中症の増加と媒介動物感染症の分布拡大。白内障・皮膚がんはオゾン層破壊(紫外線増加)による別の問題。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- 気候変動影響評価報告書 詳細(令和2年12月)|環境省
- 紫外線環境保健マニュアル2020|環境省
- Vector-borne diseases (fact sheet)|World Health Organization
- Climate change (fact sheet)|World Health Organization
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。