第102回医師国家試験 B22(2008年)
正答:d
問題
我が国の現在の結核対策で正しいのはどれか。
a.診断は胸部エックス線写真による。
b.診断後7日以内に保健所へ届け出る。
c.介護保険施設入所者には入所前にBCGを接種する。
d.乳児にはツベルクリン反応検査を行わずにBCGを接種する。
e.患者の接触者にはDOTS〈directly observed treatment, short course〉を行う。
正答の理由
公式正答はdです。結核の定期の予防接種は、経皮接種用乾燥BCGワクチンを上腕外側に滴下し管針法で1回行うと定められているだけで、事前のツベルクリン反応検査は規定されていません。2005年の制度改正でツ反を省略した直接接種となり、現在も乳児期(1歳に至るまで)に行われています。
各選択肢の検討
a.診断は胸部エックス線写真による。誤り。感染症法に基づく結核の届出基準では、塗抹・分離同定・核酸増幅による菌(遺伝子)の検出がそれ自体で診断根拠となる検査方法とされ、画像検査の所見は問診等を併せて医師が結核患者と診断できる場合に限って用いるものと定められています。胸部エックス線は発見の端緒にはなりますが、確定診断は喀痰などの細菌学的検査によります。
b.診断後7日以内に保健所へ届け出る。誤り。結核は感染症法の二類感染症で、診断した医師は直ちに最寄りの保健所長を経由して届け出ます。7日以内でよいのは一部の五類感染症です。
c.介護保険施設入所者には入所前にBCGを接種する。誤り。BCGの定期接種対象は1歳に至るまでの者で、高齢者は対象外です。施設入所者に対して法が求めているのは結核に係る定期の健康診断です。
d.乳児にはツベルクリン反応検査を行わずにBCGを接種する。正しい。予防接種実施規則は管針法によるBCG接種のみを定めており、ツベルクリン反応検査を前置する規定はありません。
e.患者の接触者にはDOTS〈directly observed treatment, short course〉を行う。誤り。DOTSは結核患者や潜在性結核感染症の人に対する服薬確認を軸とした患者支援で、接触者に対して行うのは積極的疫学調査に基づく接触者健診です。
覚えるポイント
結核は二類感染症で直ちに届出。BCGは1歳未満にツ反なしで管針法。DOTSは患者の服薬支援であり、接触者には健診を行う。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- 感染症法に基づく医師の届出のお願い 結核(届出基準)|厚生労働省
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
- 予防接種実施規則
- 予防接種法施行令
- 結核に関する特定感染症予防指針
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。