第102回医師国家試験 A59(2008年)
正答:e
問題
76歳の男性。失神を主訴に来院した。最近1か月の間に2度失神し、その際前額部を打撲している。Holter心電図(別冊No. 25)を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
a.アトロピン投与
b.リドカイン投与
c.プロプラノロール投与
d.イソプロテレノール投与
e.心臓ペースメーカー植え込み

正答の理由
1か月に2回の失神があり、顔面の打撲を伴う突然の意識消失です。Holter心電図では約6.6秒にわたり心電図波形が完全に途絶える心停止が記録されており、症状と不整脈の対応が確認できます。可逆的な外因のない症候性の洞機能不全症候群の治療はペースメーカー植え込みで、公式正答はeです。
画像の見方
1秒の目盛りが付されたHolter心電図の1誘導記録。はじめにRR間隔が約0.8秒(心拍数約75/分)の洞調律が2拍あり、その直後から基線が平坦になってP波もQRS波も確認できない時間が約6.6秒続く。その後に再び自己の心拍が現れ、以後は連続した拍が記録されている。
各選択肢の検討
a.アトロピン投与。誤り。急性期に一時的に心拍数を上げる薬で、反復する心停止による失神の恒久的な対策にはなりません。
b.リドカイン投与。誤り。心室性頻脈性不整脈に用いる薬で、心停止をかえって助長します。
c.プロプラノロール投与。誤り。β遮断薬は心拍数をさらに下げるため、徐脈・心停止のある本例には不適切です。
d.イソプロテレノール投与。誤り。一時的に心拍数を上げる目的で急場に用いることはありますが、繰り返す失神に対する確実な治療にはなりません。
e.心臓ペースメーカー植え込み。正しい。可逆的な原因のない症候性の洞機能不全症候群では、ペースメーカー植え込みが治療です。心房ペーシングや心室ペーシングを最小化する二腔ペースメーカーが望ましいとされます。
覚えるポイント
失神+Holterで数秒の心停止=症候性の洞機能不全症候群。治療はペースメーカー。薬剤は応急処置にとどまる。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。