上咽頭癌の治療|第102回医師国家試験A47

第102回医師国家試験 A47(2008年)

正答:b・c

問題

66歳の女性。1か月前から続く左耳のつまるような違和感と左上頸部の母指頭大の腫瘤とを主訴に来院した。CRP 0.4 mg/dl。頭部単純MRIの水抑制T2強調像〈FLAIR〉(別冊No. 15)を別に示す。

治療法として適切なのはどれか。2つ選べ。

a.手術

b.放射線治療

c.抗癌化学療法

d.副腎皮質ステロイド薬投与

e.非ステロイド性抗炎症薬投与

別冊No. 15 頭部単純MRIの水抑制T2強調像〈FLAIR〉横断像。鼻咽腔の高さで左側の咽頭陥凹が軟部組織に置き換わり、左右非対称になっている。
別冊No. 15 / 出典:厚生労働省・第102回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

片側の耳閉感(耳管閉塞による滲出性中耳炎)と同側上頸部のリンパ節腫大、MRIでの片側咽頭陥凹の軟部組織による閉塞は、上咽頭癌の典型的な現れ方です。CRPが正常で炎症性疾患は考えにくい点も支持します。上咽頭癌は部位と進展範囲から手術で切除できることが少なく、化学療法と放射線治療が標準治療です。公式正答はb・cです。

画像の見方

鼻咽腔の高さの水抑制T2強調(FLAIR)横断像。鼻咽腔の含気腔は左右非対称で、画像右側(患者左側)の咽頭陥凹が軟部組織で埋まり、同側の咽頭側壁が厚くなっている。画像右側(患者左側)の側頭骨含気腔にも周囲より高信号の領域がみられる。画像下部に50mmのスケールバーがある。頭蓋内に明らかな腫瘤や信号異常は指摘できない。

各選択肢の検討

a.手術。誤り。上咽頭癌は部位と進展範囲のため外科的切除の適応となることが少なく、初回治療の中心にはなりません。頭蓋底切除は再発例などごく限られた症例に限られます。

b.放射線治療。正しい。上咽頭癌の標準治療の柱で、化学療法と併用して行われます。

c.抗癌化学療法。正しい。放射線治療と併用し、しばしば補助化学療法が続けられます。

d.副腎皮質ステロイド薬投与。誤り。腫瘍そのものの治療にはならず、本例はCRPも正常で炎症性疾患を示す所見がありません。

e.非ステロイド性抗炎症薬投与。誤り。対症的な鎮痛・消炎にとどまり、上咽頭癌の治療にはなりません。

覚えるポイント

片側の滲出性中耳炎(耳閉感)+頸部リンパ節腫大=上咽頭癌を疑う。治療は化学放射線療法が基本で、手術は中心にならない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第102回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました