若年性鼻咽腔血管線維腫|第102回医師国家試験A46

第102回医師国家試験 A46(2008年)

正答:c

問題

16歳の男子。鼻閉と鼻出血とを主訴に来院した。1か月前から耳閉感と軽度難聴とを自覚していた。経鼻内視鏡検査で、鼻腔後端に暗赤色調の腫瘤を認める。頭部造影MRIのT1強調像(別冊No. 14A)と右外頸動脈造影写真正面像(別冊No. 14B)とを別に示す。

最も考えられるのはどれか。

a.乳頭腫

b.脊索腫

c.血管線維腫

d.悪性黒色腫

e.悪性リンパ腫

別冊No. 14A 頭部造影MRI T1強調横断像。後鼻腔から鼻咽腔の正中に、強く造影される境界明瞭な腫瘤がある。
別冊No. 14A / 出典:厚生労働省・第102回A別冊(原本の該当ページ)
別冊No. 14B 右外頸動脈造影写真正面像。顎動脈の分枝から供血される異常血管網と濃い腫瘍濃染がみられる。
別冊No. 14B / 出典:厚生労働省・第102回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

思春期男子の鼻閉と反復する鼻出血、鼻腔後端の暗赤色調腫瘤、造影MRIで強く造影される鼻咽腔腫瘤、外頸動脈造影での豊富な異常血管と腫瘍濃染という組合せは、若年性鼻咽腔血管線維腫に特徴的です。本症は思春期男子の鼻咽腔・後鼻腔に生じる良性だが局所侵襲性の線維血管性腫瘍で、鼻閉と鼻出血が二大症状です。耳管周囲への進展で滲出性中耳炎となり耳閉感・難聴を来します。公式正答はcです。

画像の見方

写真Aは造影T1強調の横断像で、後鼻腔から鼻咽腔の正中に境界の明瞭な腫瘤があり、周囲の軟部組織より明らかに強く造影されている。写真Bは右外頸動脈造影の正面像で、顎動脈とみられる分枝から派生する密な異常血管の集簇と、それに一致する濃い腫瘍濃染(tumor blush)が同じ部位に描出されている。

各選択肢の検討

a.乳頭腫。誤り。内反性乳頭腫は中年以降に多い良性腫瘍で、悪性化しうるため根治的な切除が必要とされます。MRIでは脳回状(convoluted cerebriform)の模様を示すのが特徴で、本例のような外頸動脈造影での密な異常血管と強い腫瘍濃染は典型的ではありません。

b.脊索腫。誤り。胎生期脊索の遺残から生じる悪性腫瘍で、頭蓋では正中の斜台に好発します。診断時の平均年齢は50歳代後半で男性に多く、思春期男子の鼻咽腔に外頸動脈系から豊富に供血される腫瘤という本例とは合いません。

c.血管線維腫。正しい。若年性鼻咽腔血管線維腫は思春期男子の鼻咽腔・後鼻腔に好発し、蝶口蓋孔付近を起始部とします。鼻閉と鼻出血が主症状で、造影で強く濃染し、顎動脈など外頸動脈系から豊富に供血されるため術前塞栓が行われます。

d.悪性黒色腫。誤り。鼻副鼻腔の粘膜悪性黒色腫は高齢者に多く、黒色調の腫瘤として観察されることが多い疾患です。メラニンを含む病変ではMRIのT1強調像で高信号を示すのが特徴とされます。

e.悪性リンパ腫。誤り。鼻部に生じる節外性NK/T細胞リンパ腫(鼻型)も鼻閉や反復する鼻出血を来しますが、粘膜のびらん・壊死や偽膜が目立ち、組織学的にも血管中心性の破壊性浸潤と壊死を示します。本例のような強く造影される血管性腫瘍の像とは異なります。

覚えるポイント

思春期男子+鼻閉+反復する鼻出血+強く造影される鼻咽腔腫瘤=若年性鼻咽腔血管線維腫。生検は大出血の危険があり、造影検査と塞栓を先に考える。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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