物盗られ妄想を伴う高齢者に行う認知機能スクリーニング|第102回医師国家試験A24

第102回医師国家試験 A24(2008年)

正答:c

問題

65歳の女性。「嫁が財布をとった」と言っては騒ぐと家族に伴われて来院した。家族によれば、患者は最近わがままで短気になり、物忘れも目立つようになったと言う。財布は家族が一緒に捜すと、机の引き出しの中に見つかったりする。患者は憮然として、「嫁は意地悪だ」と言う。

診断に有用な検査はどれか。

a.Rorschachテスト

b.Minnesota多面人格検査〈MMPI〉

c.Mini-Mental State Examination〈MMSE〉

d.簡易精神症状評価尺度[Brief Psychiatric Rating Scale〈BPRS〉]

e.Hamiltonうつ病評価尺度

正答の理由

物忘れの進行、人格の変化(わがまま・短気)、身近な人を疑う物盗られ妄想という組合せは認知症を強く疑わせます。まず必要なのは認知機能の客観的な評価で、MSDマニュアルもMini-Mental State ExaminationやMontreal Cognitive Assessmentをベッドサイドのスクリーニング検査として挙げています。他の4つは人格傾向や症状の重症度を測る道具で、認知機能障害の有無を確かめる検査ではありません。公式正答はcです。

各選択肢の検討

a.Rorschachテスト。誤り。インクのしみへの反応から人格構造や対処様式をみる投影法の人格検査で、認知機能の有無や程度を判定するものではありません。

b.Minnesota多面人格検査〈MMPI〉。誤り。多数の質問項目で人格傾向を数量化する質問紙法の人格検査で、認知機能のスクリーニングには用いません。

c.Mini-Mental State Examination〈MMSE〉。正しい。見当識・記銘・注意・計算・言語などを短時間で評価する認知機能スクリーニングで、認知症を疑ったときの最初の評価に適します。

d.簡易精神症状評価尺度[Brief Psychiatric Rating Scale〈BPRS〉]。誤り。抑うつ・不安・幻覚・異常行動など精神症状の有無と重症度を評価者が採点する尺度で、認知機能の測定が目的ではありません。

e.Hamiltonうつ病評価尺度。誤り。抑うつ症状の重症度を測る尺度です。高齢者のうつは認知症との鑑別で重要ですが、本例の中心である記憶障害の評価には代わりません。

覚えるポイント

物忘れ+人格変化+物盗られ妄想を見たら、まずMMSEなどで認知機能を客観的に測る。人格検査や症状重症度尺度では代用できない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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