胎盤娩出直後の大量出血と強い下腹部痛(子宮内反症)|第102回医師国家試験A22

第102回医師国家試験 A22(2008年)

正答:b

問題

40歳の初産婦。児の娩出までの経過は正常であった。胎盤娩出直後から多量の出血を認めるとともに下腹部に激しい痛みを訴えた。

最も考えられるのはどれか。

a.子宮破裂

b.子宮内反

c.頸管裂傷

d.弛緩出血

e.羊水塞栓症

正答の理由

分娩第3期の前後に「多量の出血」と「強い下腹部痛」が同時に起こる病態として最も典型的なのが子宮内反症です。BJA Educationの総説は、患者は分娩第3期の最中と直後に強い下腹部痛を訴えること、出血量に不釣り合いな血圧低下と徐脈(骨盤内の副交感神経刺激による神経原性ショック)を伴うこと、腹部で子宮底を触れないことや腟内の腫瘤が診断の手がかりになることを挙げています。児娩出までの経過が正常で、胎盤娩出直後に発症した時相も合致します。公式正答はbです。

各選択肢の検討

a.子宮破裂。誤り。多くは分娩中(児娩出前)に強い腹痛と胎児機能不全で発症し、出血は腹腔内に及んで外出血として現れないことがあります。児娩出まで正常に経過した本例の時相とは合いません。

b.子宮内反。正しい。胎盤娩出直後の大量出血と強い下腹部痛、出血量に不釣り合いなショックが特徴で、ただちに子宮を整復する必要があります。

c.頸管裂傷。誤り。子宮収縮が良好なのに持続する出血が主体で、強い下腹部痛は前面に出ません。裂傷部を直視下に確認して縫合します。

d.弛緩出血。誤り。子宮が収縮せず柔らかいまま出血するもので分娩後出血の最多の原因ですが、激しい下腹部痛を訴える病態ではありません。

e.羊水塞栓症。誤り。突然の呼吸循環不全と播種性血管内凝固が前面に出る病態で、下腹部痛を主症状とはしません。

覚えるポイント

胎盤娩出直後の「大量出血+強い下腹部痛+子宮底を触れない」は子宮内反症。直ちに整復と輸液・輸血を行う。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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