CGA7に含まれない聴覚の質問を見分ける|第120回医師国家試験F63

第120回医師国家試験 F63(2026年)

正答:b

問題

80歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。

現病歴:3年前から労作時に息切れを自覚していた。6か月前から咳、痰が出現し、1か月前から坂道や階段を途中で休まないと昇れなくなったため受診した。

既往歴:2年前に閉塞隅角緑内障と診断されたが、以後、通院はしていない。

生活歴:喫煙は40本/日を60年間。飲酒は機会飲酒。

家族歴:父が脳梗塞。

現症:意識は清明。身長170 cm、体重58 kg。体温36.2 ℃。脈拍92/分、整。血圧138/62 mmHg。呼吸数24/分。SpO2 90%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。胸鎖乳突筋の肥大を認める。心音に異常を認めない。呼吸音は全体的に減弱しており、喘鳴を認める。両下腿に浮腫を認めない。

検査所見:血液所見:赤血球460万、Hb 13.7 g/dL、Ht 42%、白血球7,600、血小板18万。血液生化学所見:AST 22 U/L、ALT 18 U/L、LD 210 U/L(基準124〜222)、尿素窒素16 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 97 mEq/L。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41、PaCO2 54 Torr、PaO2 58 Torr、HCO3− 32 mEq/L。胸部エックス線写真では、両側横隔膜の平低化および滴状心を認める。

退院後、患者は定期的に外来通院することになった。ある日の外来で「最近、つまずきやすくなり、物覚えが悪くなった」と相談を受け、高齢者機能評価簡易版〈CGA7〉を用いて評価を行うことになった。

評価のための質問で適切でないのはどれか。

a.「自分が無力だと思いますか」

b.「会話が聴き取りにくいことはありますか」

c.「これから言う言葉を繰り返してください」

d.「お風呂でひとりで体を洗うことができますか」

e.「トイレで失敗してしまうことはありませんか」

正答の理由

CGA7は、意欲、認知機能、手段的ADL、基本的ADL、情緒・気分を簡便に確認する評価です。会話の聴き取りにくさを直接尋ねるbはCGA7の項目に含まれないため、「適切でない」質問として選びます。難聴の確認自体は高齢者診療で重要ですが、CGA7の構成項目とは区別します。

各選択肢の検討

a.「自分が無力だと思いますか」:情緒・気分、特にうつ傾向を確認するCGA7の質問です。

b.「会話が聴き取りにくいことはありますか」:聴覚に関する質問で、CGA7の7項目には含まれません。

c.「これから言う言葉を繰り返してください」:認知機能をみる即時の復唱に相当し、CGA7に含まれます。

d.「お風呂でひとりで体を洗うことができますか」:入浴の自立という基本的ADLを確認する項目です。

e.「トイレで失敗してしまうことはありませんか」:排泄の自立という基本的ADLを確認する項目です。

覚えるポイント

CGA7の7項目は、自発的な挨拶などによる意欲、3単語の復唱、交通手段などによる移動、3単語の遅延再生、入浴、排泄、無力感です。異常があれば各領域を詳しく評価し、CGA7だけで認知症などを確定しません。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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