第120回医師国家試験 F60(2026年)
正答:b・c
問題
88歳の女性。要介護認定の申請にあたって、主治医意見書作成のため、長女とともに来院した。68歳から一人暮らしである。これまで持病はなく内服薬はない。これまでは自分で調理していたが、①最近は宅配のお弁当を利用している。②生活用品は近所のお店で買っている。尿失禁はあるが尿とりパッドを自分で交換しており汚すことはない。③長女のところにバスに乗って行くことができなくなり、今は長女が週に1回様子を見に行くようにしている。昔から頑固で自立心が強い。④本人は受診について不満で、支援は不要と考えている様子である。医療面接では⑤同じ話の繰り返しがあり、会話の内容として理解困難なものも含まれる。歩行は正常で、ふらつきや疼痛・しびれはないという。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)を下記の表に照らし合わせ「J2」と判断した。
| 区分 | ランク | 判定基準 |
|---|---|---|
| 生活自立 | ランクJ | 何らかの障害を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する。 1.交通機関等を利用して外出する。 2.隣近所へなら外出する。 |
| 準寝たきり | ランクA | 屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない。 1.介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する。 2.外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている。 |
| 寝たきり | ランクB | 屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ。 1.車椅子に移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う。 2.介助により車椅子に移乗する。 |
| 寝たきり | ランクC | 1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する。 1.自力で寝返りをうつ。 2.自力では寝返りもうたない。 |
下線部のうち、判断の根拠となった項目はどれか。2つ選べ。
a.①
b.②
c.③
d.④
e.⑤
正答の理由
J2は日常生活がほぼ自立し、隣近所へなら独力で外出する状態です。②近所で生活用品を買えることと、③バスで長女のところへ行けなくなったことが、外出範囲を示します。この2項目が判断の根拠となるため、b・cが正答です。
各選択肢の検討
a.①:調理から宅配弁当への変更だけでは、独力での外出範囲を判断できません。
b.②:近所の店へ自分で買い物に行けることが、隣近所への外出が可能なJ2を支持します。
c.③:交通機関を使って遠方へ外出できなくなったことが、J1と区別する根拠になります。
d.④:支援に対する本人の考えや態度は、寝たきり度の外出能力を直接示す項目ではありません。
e.⑤:認知機能の評価には重要ですが、本問の障害高齢者の日常生活自立度とは区別して判断します。
覚えるポイント
障害高齢者の日常生活自立度と、認知症高齢者の日常生活自立度を混同しないようにします。J1は交通機関などを利用した外出、J2は隣近所への外出が目安です。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。