中枢性尿崩症では尿濃縮ができず尿浸透圧が低下する|第120回医師国家試験F48

第120回医師国家試験 F48(2026年)

正答:b

問題

55歳の男性。口渇、多飲および多尿を主訴に来院した。尿量6〜8 L/日と著明な多尿が数週間続いている。口腔内は乾燥している。尿所見:蛋白(−)、糖(−)。頭部造影MRIのT1強調冠状断像(別冊No. 4A)と頭部単純MRIのT1強調矢状断像(別冊No. 4B)とを別に示す。

予想される所見はどれか。

a.尿ケトン体陽性

b.尿浸透圧の低下

c.血清尿素窒素の低下

d.血清ナトリウムの低下

e.脳脊髄液細胞数の増加

下垂体領域の造影T1強調冠状断MRI
別冊No.4A:造影T1強調冠状断像 / 出典:厚生労働省・第120回F別冊(原本の該当ページ)
下垂体領域の単純T1強調矢状断MRI
別冊No.4B:単純T1強調矢状断像 / 出典:厚生労働省・第120回F別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

1日6〜8 Lの多尿、口渇・多飲、尿糖陰性に加え、下垂体領域のMRI所見から中枢性尿崩症を考えます。バソプレシン〈ADH〉の分泌が不足すると集合管での水の再吸収が減り、薄い尿が大量に排泄されます。したがって予想される所見は尿浸透圧の低下で、bが正答です。

画像の見方

造影冠状断では下垂体茎の肥厚を疑う所見があり、単純矢状断では下垂体後葉に通常みられる明瞭なT1高信号を確認しにくい像です。臨床症状と合わせ、中枢性尿崩症を支持します。炎症性疾患や腫瘍などの原因疾患を、この2枚だけで確定することはできません。

各選択肢の検討

a.尿ケトン体陽性:インスリン欠乏などで生じますが、尿崩症そのものによる水利尿で予想する所見ではありません。

b.尿浸透圧の低下:尿を濃縮できず、低浸透圧の尿が大量に出るため正しい選択です。

c.血清尿素窒素の低下:尿崩症の特徴ではありません。脱水が進む場合には、むしろ上昇することがあります。

d.血清ナトリウムの低下:未治療の中枢性尿崩症では自由水を失うため、正常高値から高ナトリウム血症を示しやすくなります。十分に飲水できれば正常のこともあります。

e.脳脊髄液細胞数の増加:中枢性尿崩症そのものの所見ではなく、本問から髄液細胞数増加を予想する根拠はありません。

覚えるポイント

尿崩症は「多量の薄い尿」、SIADHは「水の貯留と低ナトリウム血症」です。中枢性尿崩症のMRIでは下垂体後葉のT1高信号の低下・消失が参考になりますが、画像だけで確定するものではありません。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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