内視鏡検査への恐怖を聞き取り意思決定を支援する|第120回医師国家試験E50

第120回医師国家試験 E50(2026年)

正答:b

問題

75 歳の女性。血便を主訴に来院した。

現病歴 : 3 日前から急に左下腹部痛が出現し、排便時に鮮紅色の血液が混じるようになった。便の性状は、初めは軟便であったが、次第に泥状便に変化した。下腹部痛は波があり、排便後に軽減するが、再び増悪することがある。発熱はないが、最近食欲が低下し、軽度の体重減少も認める。排便後に便意が残る感覚がある。また、以前から排便後、肛門を拭いたトイレットペーパーに血液が付着することがあった。

既往歴 : 高血圧症で降圧薬を内服中。糖尿病で経口血糖降下薬を服用中。

生活歴 : 喫煙 10 本/日を 50 年間。飲酒は機会飲酒。

家族歴 : 父が大腸癌で死亡。

現症 : 身長 155 cm、体重 48 kg。脈数 96/分、整。血圧 110/68 mmHg。眼瞼結膜に軽度の貧血を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は左下腹部に圧痛があり、反跳痛はない。腸雑音は亢進している。四肢に浮腫を認めない。肛門と直腸の診察の結果、直腸内に径 2 cm の硬結を指腹で触知し、指診後に血液の付着を認めたため、医師は下部消化管内視鏡検査を提案した。しかし、患者は「大腸カメラなんて、怖くて絶対に受けたくありません」と話している。

このときの医師の応答で、誤っているのはどれか。

a.「不安なお気持ちはわかります」

b.「とにかく私の指示に従ってください」

c.「検査の目的について詳しくご説明しますね」

d.「どうして怖いと思うのか理由を教えていただけますか」

e.「鎮静薬などを使用して眠っている間に検査を終えることもできます」

正答の理由

検査を怖がる患者には、その理由を確認し、目的や利益・不利益、苦痛を軽減する方法を説明する必要があります。「とにかく私の指示に従ってください」というbは、患者の理解と自発的な同意を尊重しないため誤りです。

各選択肢の検討

a.不安な気持ちを受け止める:患者の感情を理解しようとする応答として適切です。

b.とにかく指示に従うよう求める:説明や患者の意思を置き去りにするため、誤っている応答として正答です。

c.検査の目的を詳しく説明する:直腸の硬結や出血を評価する必要性を、分かりやすく伝える対応です。

d.怖いと思う理由を尋ねる:痛み、結果への不安、過去の経験など、恐怖の背景を把握するために適切です。

e.鎮静薬などの選択肢を説明する:苦痛軽減の方法を提示することは適切です。ただし、必ず眠れる・苦痛が全くないと保証する説明にはしません。

覚えるポイント

鎮静の深さや適否には個人差があり、呼吸・循環への影響なども説明します。検査の必要性を伝えつつ、患者が質問し、納得して判断できるよう支援します。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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