第120回医師国家試験 E48(2026年)
正答:b
問題
74 歳の男性。嘔吐、腹痛および下痢を主訴に来院した。
現病歴 : 2 日前に生牡蠣〈カキ〉を摂取後、昨夜から上記症状を認め、食欲低下、頻回の嘔吐および水様下痢が継続している。
既往歴 : 25 歳時に急性虫垂炎で手術。
生活歴 : 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴 : 特記すべきことはない。
現症 : 意識レベルは JCSII‐10。身長 168 cm、体重 52 kg。体温 37.8 °C。脈拍 132/分、整。血圧 82/76 mmHg。呼吸数 30/分。SpO2 95 % (room air)。毛細血管再充満時間 3 秒。皮膚は乾燥しており、ツルゴールは低下している。口腔内は乾燥している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨満しており、軽度の圧痛があるが、反跳痛はない。
検査所見 : 血液所見:赤血球 520 万、Hb 14.8 g/dL、Ht 48 %、白血球 18,200、血小板 21 万。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、アルブミン 3.0 g/dL、総ビリルビン 1.2 mg/dL、 AST 20 U/L、 ALT 30 U/L、 LD 140 U/L (基準 124〜222)、ALP 80 U/L (基準 38〜113)、γ‐GT 240 U/L (基準 13〜64)、尿素窒素 38 mg/dL、クレアチニン 1.6 mg/dL、 Na 145 mEq/L、 K 4.8 mEq/L、 Cl 101 mEq/L。CRP 2.8 mg/dL。便中ノロウイルス抗原陽性。個室に入院のうえ治療を継続することとした。
この患者に関する院内感染対策で正しいのはどれか。
a.共用トイレの使用を許可する。
b.病室のドアノブは頻回に消毒する。
c.診察時には N 95 マスクの着用を要する。
d.患者が使用した食器はアルコールで消毒する。
e.吐物の処理時に使用した手袋は一般廃棄物として処理する。
正答の理由
ノロウイルスは便や吐物に含まれ、手指や環境表面を介して感染が広がります。頻繁に触れるドアノブを適切な薬剤・方法でこまめに消毒するbが正答です。汚染を除去したうえで、ノロウイルスに有効な消毒を行います。
各選択肢の検討
a.共用トイレの使用を許可する:他の患者への伝播を防ぐため、患者専用トイレなどを確保します。
b.病室のドアノブは頻回に消毒する:手指を介する感染拡大を防ぐ対策として適切で、正答です。
c.診察時にはN95マスクの着用を要する:通常の診察でN95を一律に必要とする感染症ではありません。吐物の処理などでは飛散に応じたマスク・眼の防護も行います。
d.食器はアルコールで消毒する:アルコールだけに依存せず、洗浄と適切な塩素消毒や加熱などを行います。
e.使用した手袋は一般廃棄物として処理する:院内で吐物処理に用いた汚染手袋は、感染性廃棄物として施設の手順に従って処理します。
覚えるポイント
標準予防策に接触予防策を加え、個室管理、手袋・ガウン、適切な環境清掃を徹底します。患者や汚染物との接触後は、流水と石けんによる手洗いが重要です。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。