第120回医師国家試験 D65(2026年)
正答:d
問題
25 歳の女性。右下腿の皮疹を主訴に来院した。 1 週間前に右下腿に小丘疹が出現し、搔破後に急速に潰瘍が拡大した。その後、潰瘍は多発してきた。潰瘍性大腸炎で治療中である。体温 36.1 °C。下腿は強い疼痛を伴い、潰瘍辺縁は紫紅色調を呈している。潰瘍部の細菌培養は陰性。病変部の病理検査で真皮に好中球の浸潤を多数認めるが、乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫を認めない。右下腿の皮疹の写真(別冊No. 29)を別に示す。
診断はどれか。
a.結節性紅斑
b.硬結性紅斑
c.壊死性筋膜炎
d.壊疽性膿皮症
e.血栓性静脈炎別冊No. 29

正答の理由
潰瘍性大腸炎を背景に、小丘疹が搔破後に急速に拡大し、強い疼痛と紫紅色の辺縁を伴う潰瘍となっています。真皮の好中球浸潤も合わせ、壊疽性膿皮症を考えます。軽微な外傷で皮疹が誘発・増悪するパテルギーも診断の手掛かりです。
画像の見方
右下腿に複数の潰瘍を認めます。写真の潰瘍性病変を、強い疼痛、紫紅色の辺縁、搔破後の拡大という記載と合わせて評価します。写真だけで感染症の有無を確定しません。
各選択肢の検討
a.結節性紅斑:炎症性腸疾患に合併しますが、主に圧痛のある皮下結節で、通常は本例のような潰瘍形成を主体としません。
b.硬結性紅斑:下腿の結節や潰瘍を来しますが、脂肪織の肉芽腫性炎症などを評価します。本例は背景疾患、経過、好中球浸潤から壊疽性膿皮症が適切です。
c.壊死性筋膜炎:緊急に除外すべき感染症ですが、本問の背景疾患と皮疹の経過、病理所見は壊疽性膿皮症を支持します。培養陰性だけで感染症を否定することはできません。
d.壊疽性膿皮症:有痛性の急速に拡大する潰瘍、紫紅色の辺縁、炎症性腸疾患、好中球浸潤に合致し、正答です。
e.血栓性静脈炎:静脈に沿う発赤、圧痛、索状硬結などが中心で、本例の多発する潰瘍と病理所見の説明には適しません。
覚えるポイント
壊疽性膿皮症は感染症などを除外して診断する好中球性皮膚症です。外傷で増悪することがあり、感染性壊死と決めつけて不用意にデブリードマンを行わないことが重要です。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。