第120回医師国家試験 D61(2026年)
正答:a
問題
40 歳の初妊婦( 1 妊 0 産)。妊娠 33 週 0 日、持続する下腹部痛と頭痛を主訴に来院した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は 25 歳から現在まで 10 本/日。血圧 154/98 mmHg。腟鏡診で少量の出血を認め、子宮口は 3 cm 開大している。尿蛋白 3 +。経腹超音波像(別冊No. 28A)と胎児心拍数陣痛図(別冊No. 28B)とを別に示す。帝王切開を施行する方針とした。帝王切開の適切な施行時期はどれか。
a.直ちに
b.頭部単純 CT 後
c.輸血製剤到着後
d.ベタメタゾン投与後
e.凝固・線溶検査の結果到着後別冊No. 28 A、B


正答の理由
持続する下腹部痛と性器出血があり、高血圧・蛋白尿という妊娠高血圧腎症を疑う背景もあります。超音波の胎盤後方の血腫を疑う像と、反復する胎児心拍数低下から常位胎盤早期剝離による胎児機能不全を考えます。帝王切開の方針が決まった本例では、準備・母体管理を並行して直ちに施行するaが適切です。
画像の見方
超音波では胎盤後方の不均一な領域を血腫の可能性として評価します。心拍数陣痛図では反復する心拍数低下に注目し、腹痛・出血と合わせて胎盤機能の急な悪化を疑います。画像だけから剝離面積や出血量を数値で推定しません。
各選択肢の検討
a.直ちに:母児の状態が悪化する危険があり、緊急帝王切開を進める正答です。
b.頭部単純CT後:頭痛の評価が必要な状況はありますが、本例でCTを待って分娩を遅らせる方針は適切ではありません。
c.輸血製剤到着後:輸血準備は重要ですが、到着を待つことを施行の条件とせず、緊急対応を並行して進めます。
d.ベタメタゾン投与後:早産児の肺成熟促進を目的としますが、母児の救命に必要な分娩を遅らせる理由にはなりません。
e.凝固・線溶検査の結果到着後:DIC評価の採血と治療準備は必要ですが、結果待ちを理由に緊急分娩を遅らせません。
覚えるポイント
早期剝離では外出血が少なくても胎盤後方の出血が進み、胎児低酸素や母体の凝固障害を来すことがあります。採血、静脈路確保、輸液・輸血の準備、麻酔科・新生児科との連携を分娩準備と同時に行います。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。