第120回医師国家試験 D60(2026年)
正答:d
問題
82 歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。反応に乏しく、ぐったりしていることに家族が気付き、救急車を要請した。 1 年前から食事や飲水時にむせることがあった。既往歴に特記すべきことはない。搬入時の意識レベルは JCS II‐20。体温 37.8 °C。呼吸数 26/分。SpO2 91 % (room air)。胸部エックス線写真で右下肺野に浸潤影を認めた。搬入時の吸引喀痰検査では Gram 陽性球菌と Gram陰性桿菌が多数認められ、白血球の貪食像が確認された。入院後アンピシリン/スルバクタムの投与が開始された。治療開始 3 日目の現在、解熱がみられ、全身状態は改善している。抗菌薬投与前に行った喀痰培養では、連鎖球菌、MRSA、クレブシエラ属およびカンジダ属が分離された。薬剤感受性試験は検査中である。この時点で最も適切な対応はどれか。
a.抗菌薬を終了する。
b.抗真菌薬を併用する。
c.抗 MRSA 薬を併用する。
d.現在の抗菌薬を継続する。
e.抗菌薬をカルバペネムに変更する。
正答の理由
嚥下時のむせと右下肺野浸潤影から誤嚥性肺炎を考えます。アンピシリン/スルバクタム開始後3日で解熱し全身状態が改善しているため、現時点では現在の抗菌薬を継続するdが適切です。喀痰でMRSAやカンジダが検出されても、定着や混入の可能性があり、それだけで治療薬を追加する根拠にはなりません。
各選択肢の検討
a.抗菌薬を終了:改善はしていますが、治療3日目という情報だけで直ちに終了せず、経過や臨床的安定性を評価して治療期間を判断します。
b.抗真菌薬を併用:呼吸器検体のカンジダは多くが定着を反映し、培養陽性だけで抗真菌薬を開始しません。
c.抗MRSA薬を併用:現在の薬剤で改善しており、MRSAを原因菌とする根拠に乏しいため、検出だけで追加しません。
d.現在の抗菌薬を継続:臨床反応が良好であり、現時点の正答です。感受性結果や経過も引き続き確認します。
e.カルバペネムへ変更:治療不応や耐性菌による感染を示す根拠がない状態で、広域化する必要はありません。
覚えるポイント
培養結果は、検体の質、Gram染色、菌量、症状、治療反応と合わせて解釈します。MRSA感染を常に否定するのではなく、悪化や治療不応があれば原因菌・合併症・耐性などを再評価します。再発予防には嚥下評価や口腔ケアも重要です。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。