第120回医師国家試験 D59(2026年)
正答:b
問題
60 歳の男性。 3 週間前に受けた人間ドックの腹部超音波検査で右腎下極に径2.5 cm の腫瘤を指摘されたため来院した。自覚症状はない。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)、沈渣に赤血球、白血球を認めない。血液所見:赤血球 474 万、Hb 14.9 g/dL、Ht 43 %、白血球 5,900、血小板 20 万。血液生化学所見:総蛋白7.1 g/dL、アルブミン 4.1 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 24 U/L、ALT 26 U/L、LD 156 U/L(基準 124〜222)、尿素窒素 14 mg/dL、クレアチニン 1.0 mg/dL、 Na 138 mEq/L、 K 4.3 mEq/L、 Cl 102 mEq/L。 CRP 0.1 mg/dL。 腹部造影 CT の冠状断像(別冊No. 27)を別に示す。胸腹部 CT では転移を認めない。最も適切な治療はどれか。
a.放射線治療
b.右腎部分切除術
c.右腎尿管全摘除術
d.殺細胞性薬による治療
e.分子標的薬による治療別冊No. 27

正答の理由
造影CTで右腎下極に充実性腫瘤を認め、径2.5cmで転移はありません。腎細胞癌を疑う小径の限局性腎腫瘍で、切除可能な本例では腫瘍を取り除きながら正常腎実質を温存する右腎部分切除術のbが最も適切です。
画像の見方
右腎下極に腎実質の輪郭を変形させる腫瘤がみられます。腎盂を中心とする病変ではなく、腎実質由来の腫瘍を疑います。大きさと転移の有無は本文の情報も合わせて判断します。
各選択肢の検討
a.放射線治療:手術が適切な本例で、提示された選択肢の中の第一選択ではありません。手術困難例などの別状況まで無効とする意味ではありません。
b.右腎部分切除術:小径の限局性腫瘍を切除し、残る腎機能の温存を図る治療で、正答です。
c.右腎尿管全摘除術:腎盂・尿管の尿路上皮癌などに対する手術で、腎実質の腫瘤が疑われる本例には選びません。
d.殺細胞性薬による治療:切除可能な限局性腎細胞癌に対する標準的な初期治療ではありません。
e.分子標的薬による治療:主に進行・転移例などで検討し、本例の局所治療に先行して選ぶものではありません。
覚えるポイント
小径腎腫瘍の治療は腫瘍の位置・形状、腎機能、併存疾患などで決めます。高齢で虚弱な患者では監視療法なども検討しますが、本問の60歳で切除可能な病変では部分切除が適切です。CTだけで組織型まで確定することはできません。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。