皮膚筋炎と急速に悪化する間質性肺炎では抗MDA5抗体を調べる|第120回医師国家試験D57

第120回医師国家試験 D57(2026年)

正答:b

問題

67 歳の男性。労作時呼吸困難を主訴に来院した。 2 週間前から労作時呼吸困難が出現し、急速に悪化したため受診した。手の皮膚所見(別冊No. 26)を別に示す。両側の肘と膝の伸側に落屑を伴う紅斑を認める。両側下肺野に fine crackles を聴取する。徒手筋力テストで、両側三角筋および大腿四頭筋は 4。胸部単純 CT で下葉にすりガラス陰影および牽引性気管支拡張を認める。診断に最も有用な自己抗体はどれか。

a.抗 Scl‐70 抗体

b.抗 MDA 5 抗体

c.抗 ADAMTS‐13 抗体

d.抗 RNA ポリメラーゼIII抗体

e.抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体〈抗 MuSK 抗体〉別冊No. 26

第120回D57 手指関節部と手掌の紅斑・落屑を認める皮膚写真
別冊No. 26:手指・手掌の皮膚所見 / 出典:厚生労働省・第120回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

手指の皮疹と肘・膝の伸側紅斑、近位筋の筋力低下から皮膚筋炎を考えます。さらに短期間に悪化する呼吸困難と、すりガラス陰影・牽引性気管支拡張があり、急速進行性の間質性肺炎を疑います。この病型との関連が強い抗MDA5抗体のbが、選択肢の中で最も有用です。

画像の見方

手指関節部や手掌に紅斑・落屑がみられます。肘・膝の伸側の皮疹と筋力低下を合わせて皮膚筋炎を疑います。皮膚写真だけで抗体の種類や肺炎の重症度を確定するものではありません。

各選択肢の検討

a.抗Scl-70抗体:全身性強皮症との関連が強い抗体で、本例の皮膚筋炎の病型評価として最も適切ではありません。

b.抗MDA5抗体:皮膚筋炎、特に急速進行性間質性肺炎との関連が重要で、正答です。

c.抗ADAMTS-13抗体:免疫性血栓性血小板減少性紫斑病などで問題となる抗体です。

d.抗RNAポリメラーゼIII抗体:全身性強皮症との関連があり、本例で最も有用な抗体ではありません。

e.抗MuSK抗体:重症筋無力症で認めることがありますが、皮疹と間質性肺炎を伴う本例を説明しません。

覚えるポイント

抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎では筋症状が乏しくても重い肺病変を伴うことがあります。ただし本例には近位筋力低下があり、無筋症性と決めつけません。抗体結果を待つ間も、急速な呼吸状態悪化には速やかな評価と治療が必要です。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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