第120回医師国家試験 D52(2026年)
正答:a
問題
78 歳の女性。動悸を主訴に来院した。高血圧で治療中である。 1 か月前から週に 1 回程度、誘引なく動悸症状があるが数分で改善していた。 3 日前から動悸症状が持続している。日常生活には支障はないが、症状が持続するため受診した。意識は清明。 身長 156 cm、 体重 45 kg。 脈拍 116/分、 不整。 血圧 108/68 mmHg。SpO2 98 % (room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。心エコー検査では左室壁運動は良好に保たれている。12 誘導心電図(別冊No. 22A)と胸部エックス線写真(別冊No. 22B)とを別に示す。抗凝固薬投与とともに、症状改善目的の初期対応で適切なのはどれか。
a.β 遮断薬投与
b.ジギタリス投与
c.カテーテルアブレーション
d.アデノシン三リン酸急速静注
e.直ちにカルディオバージョン別冊No. 22 A、B


正答の理由
心電図は明瞭なP波がなく、RR間隔が不規則で、頻脈性心房細動を考えます。意識清明で血圧・酸素化が保たれ、左室壁運動も良好なため、緊急の電気的除細動を要する循環不全は示されていません。抗凝固療法とともに、まずβ遮断薬で心拍数を調節して動悸の改善を図るaが適切です。
画像の見方
心電図ではRR間隔が不規則で、一定のP波を確認できない点に注目します。胸部X線に明らかな肺水腫はなく、本文にも低酸素血症や左室収縮低下は示されていません。画像と全身状態を合わせて、緊急除細動より心拍数調節を優先する状況と判断します。
各選択肢の検討
a.β遮断薬投与:房室伝導を抑えて心室拍数を調節し、頻脈に伴う症状を軽減するため、正答です。血圧・心拍数を見ながら投与します。
b.ジギタリス投与:心拍数調節に用いる場合はありますが、本例ではβ遮断薬を優先します。高齢者では腎機能や血中濃度、相互作用にも注意が必要です。
c.カテーテルアブレーション:症状や患者背景に応じて検討する治療ですが、本問の受診時の初期対応としてまず選ぶものではありません。
d.アデノシン三リン酸急速静注:房室結節を回路に含む発作性上室頻拍などで用いますが、心房細動を停止させる標準的な治療ではありません。
e.直ちにカルディオバージョン:循環動態は安定し、動悸は3日前から持続しています。抗凝固や心房内血栓の評価を踏まえず、直ちに除細動を行う状況ではありません。
覚えるポイント
心房細動では脳塞栓予防、心拍数調節、洞調律維持をそれぞれ評価します。心房細動によるショック・肺水腫などでは緊急電気的除細動が必要ですが、安定例の除細動では持続時間と抗凝固・心房内血栓の確認が重要です。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。