第120回医師国家試験 D51(2026年)
正答:b
問題
75 歳の男性。鼻部の皮疹を主訴に来院した。約 2 年前から鼻根部に小さな皮疹が出現したが医療機関を受診しなかった。徐々に増大し、中心部が少し凹み、縁が堤防状に盛り上がってきた。時々、かさぶたが付着し、剝がれるとわずかに出血することがあったが、痛みや痒みはない。鼻根部に長径 20 mm の結節を認める。頸部リンパ節の腫大はない。鼻部の皮疹の写真(別冊No. 21A)とダーモスコピー像(別冊No. 21B)とを別に示す。診断はどれか。
a.悪性黒色腫
b.基底細胞癌
c.日光角化症
d.有棘細胞癌
e.脂漏性角化症別冊No. 21 A、B


正答の理由
高齢者の鼻部に、長期間かけて増大する結節があり、辺縁の堤防状隆起、中央の陥凹・びらん、軽い刺激での出血を伴います。写真の黒色調の辺縁とダーモスコピー所見も合わせると、bの基底細胞癌が最も適切です。色が黒いという理由だけで悪性黒色腫と判断しないことが重要です。
画像の見方
臨床写真では黒色調の辺縁が盛り上がり、中央に陥凹とびらんがみられます。ダーモスコピーでも中央のびらんと周囲の色素性構造を確認します。基底細胞癌で知られる所見を写真にすべて認めると決めつけず、臨床経過と形態を合わせて判断します。
各選択肢の検討
a.悪性黒色腫:重要な鑑別ですが、本例の緩徐な経過と堤防状の辺縁・中央のびらんは基底細胞癌をより示唆します。
b.基底細胞癌:顔面に好発し、黒色調の結節や辺縁隆起、中央の潰瘍・出血を呈することがあり、正答です。
c.日光角化症:露光部の角化や鱗屑を伴う紅斑性病変が典型で、本例の色素性の堤防状結節とは異なります。
d.有棘細胞癌:角化を伴う腫瘤や潰瘍を来すことがありますが、提示された臨床像からは基底細胞癌を優先します。
e.脂漏性角化症:良性の角化性病変で、表面がいぼ状・貼り付いたように見えることが多く、本例の潰瘍性結節を最もよく説明するものではありません。
覚えるポイント
基底細胞癌は転移がまれでも局所で浸潤・破壊を来します。無痛でゆっくり増大することやリンパ節腫大がないことを、良性の根拠としないようにします。確定診断と組織学的評価には病理検査を行います。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。