第120回医師国家試験 D48(2026年)
正答:b
問題
9 歳の男児。落ち着きのなさを心配した母親に連れられて来院した。周産期の異常なく、在胎 40 週、体重 3,015 g で仮死なく出生した。活発で外遊びを好み、自由遊びが多い幼稚園では楽しく過ごしていたが、小学校入学後から落ち着きのなさに気付かれるようになった。授業中着席していることが難しく、外の物音に気を取られてすぐに教室を飛び出してしまう。学校からのプリントは持ち帰ってきたことがなく、教科書や筆記用具などをなくすことが多いという。本人に聞くと「学校は大好き、楽しい、算数と体育が好き」と話し、褒めると満面の笑みをみせる。脳神経、四肢の運動と感覚に異常を認めない。母親は不安のあまり毎日叱り続けているという。母への説明で適切なのはどれか。
a.「お母さんのしつけの問題です」
b.「指示は一つずつ伝えましょう」
c.「自分で気付くまで放っておきましょう」
d.「忘れ物をした時は好きな体育を禁止にしましょう」
e.「もっときつく叱らないとこの子にはわかりませんよ」
正答の理由
着席困難、周囲の刺激で注意がそれること、忘れ物や紛失の多さから注意欠如多動症(ADHD)が疑われます。複数の指示をまとめて伝えるより、一つずつ短く具体的に伝え、できた行動をその場で認める対応が適切なので、bが正答です。母親のしつけが原因と決めつけず、親子の負担を減らす支援を考えます。
各選択肢の検討
a.しつけの問題と説明:ADHDの特性を母親の責任に置き換える説明は不適切です。
b.指示を一つずつ伝える:注意を向けやすく、何をすればよいか理解しやすい伝え方で、正答です。
c.気付くまで放置する:必要な手掛かりや環境調整を提供せず、本人の努力だけに任せる対応では改善が難しいことがあります。
d.忘れ物の罰として体育を禁止する:困りごとの原因に対応せず、好きな活動を奪う罰を中心とする説明は適切ではありません。
e.もっと強く叱る:叱責を強めることを主な対応にせず、分かりやすい指示と望ましい行動への肯定的な反応を用います。
覚えるポイント
本人ができる形に課題を小さく分け、チェック表や持ち物の定位置などの工夫を家庭と学校で共有します。診断には家庭を含む複数場面での情報と、学習・睡眠・不安などの評価も必要です。保護者への支援やペアレントトレーニングも検討します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。