発熱した乳児の下肢不動と他動時痛では化膿性股関節炎を疑う|第120回医師国家試験D46

第120回医師国家試験 D46(2026年)

正答:e

問題

9 か月の女児。左足を動かさないことに母親が気付き来院した。 1 週間前から発熱、不機嫌があり、自宅近くの診療所で急性上気道炎と診断されていた。月齢相当の定期予防接種は接種済みである。不機嫌であるが、嘔吐は認めていない。体温40.2 °C。大泉門は平坦、軟。左下肢に発赤、腫脹は認めない。左下肢は動かそうとせず、左股関節を他動的に動かすと他動方向によらず啼泣する。右下肢は動かし、右股関節を他動的に動かしても痛がる様子はない。左鼠径部のリンパ節の腫大を認める。血液所見:赤血球 380 万、Hb 13.9 g/dL、Ht 39 %、白血球 22,000 (好中球 88 %、好酸球 1 %、好塩基球 1 %、単球 5 %、リンパ球 5 %)、血小板 25 万。CRP 16.3 mg/dL。最も考えられるのはどれか。

a.蜂巣炎

b.急性白血病

c.股関節脱臼

d.細菌性髄膜炎

e.化膿性股関節炎

正答の理由

高熱、好中球優位の白血球増多とCRP高値に加え、左下肢を自ら動かさず、股関節をどの方向へ他動運動させても痛がっています。痛みによる不動、いわゆる仮性麻痺を伴う股関節感染を疑い、eの化膿性股関節炎が最も考えられます。股関節は深部にあるため、皮膚の発赤や腫脹が目立たなくても否定できません。

各選択肢の検討

a.蜂巣炎:一般には皮膚・皮下の発赤や腫脹などを認めます。本例は股関節の他動運動で強く痛がる点が中心です。

b.急性白血病:骨痛や発熱を来すことはありますが、提示所見は局在の明確な急性関節感染をより強く示唆します。白血球数だけで診断しません。

c.股関節脱臼:高熱と強い炎症反応を伴う今回の経過を説明しにくい選択肢です。

d.細菌性髄膜炎:乳児では典型的な髄膜刺激症状に乏しいこともありますが、本例の片側股関節に限局した他動時痛を説明する最適な診断ではありません。

e.化膿性股関節炎:発熱、炎症反応、患肢の不動と他動時痛から疑う正答です。

覚えるポイント

乳児が片側の下肢を動かさない場合は、痛みによる仮性麻痺を考えます。疑えば血液培養、超音波などによる関節液評価、必要に応じた関節穿刺・排膿と抗菌薬治療につなげます。全身状態が悪い場合に、検査の完了まで治療を遅らせません。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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