自動挙上が困難でも他動可動域が保たれる肩腱板断裂|第120回医師国家試験D45

第120回医師国家試験 D45(2026年)

正答:c

問題

63 歳の男性。右上肢の挙上困難を主訴に来院した。 4 週間前に農作業中に転倒した際、右手をついた。その後右肩の動作時や夜間の疼痛が続くため、市販の鎮痛薬を内服していた。自動的には右上肢の挙上はできないが、右肩関節の他動的な可(別冊No. 19)動域は正常であった。肩関節エックス線写真を別に示す。右上肢の挙上障害の原因で考えられるのはどれか。

a.鎖骨骨折

b.肩関節脱臼

c.肩腱板断裂

d.上腕骨骨折

e.変形性肩関節症別冊No. 19

第120回D45 右肩関節X線。骨頭と関節窩の位置関係が保たれ、明らかな骨折を認めない
別冊No. 19:右肩関節X線 / 出典:厚生労働省・第120回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

転倒後から肩の動作時痛と夜間痛が続き、自分では上肢を挙上できない一方、他動的な可動域は保たれています。X線では明らかな骨折や肩関節脱臼を認めず、腱板機能の障害を考えるため、cの肩腱板断裂が適切です。

画像の見方

右肩の単純X線では、明らかな骨折線や骨頭の脱臼を認めません。腱板そのものの連続性をこの画像で判定することはできないため、X線で断裂が直接見えていると解釈しないことが大切です。

各選択肢の検討

a.鎖骨骨折:X線で明らかな鎖骨の骨折を認めず、提示所見からは考えにくい選択肢です。

b.肩関節脱臼:骨頭と関節窩の位置関係が保たれており、他動可動域が正常という所見とも合いません。

c.肩腱板断裂:痛みや挙上筋力の低下を来し、関節拘縮がなければ他動可動域は保たれます。正答です。

d.上腕骨骨折:X線で明らかな骨折を認めず、本問の挙上障害の原因として最も適切ではありません。

e.変形性肩関節症:関節裂隙狭小化や骨棘などの進行した変性所見に乏しく、他動可動域が保たれる臨床像からも優先しません。

覚えるポイント

自動運動と他動運動を分けて診察します。腱板はX線で直接評価しにくく、X線が正常に見えても断裂を否定できません。診察所見と超音波・MRIなどで評価します。腱板断裂の全例が挙上不能になるわけではありません。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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