閉塞性肥大型心筋症の雑音を弱めるジソピラミド|第120回医師国家試験D44

第120回医師国家試験 D44(2026年)

正答:e

問題

54 歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。以前から心電図異常を指摘されていたが精査は受けていなかった。身長 172 cm、体重 64 kg。体温 36.5 °C。脈拍 72/分、整。血圧 130/80 mmHg。呼吸数 18/分。頸静脈の怒張は認めない。胸骨左縁第 4 肋間を中心に Levine 4/6 の収縮期雑音とIV音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。心エコー検査の傍胸骨長軸像(別冊No. 18A)と M モード(別冊No. 18B)とを別に示す。この患者の心雑音増強因子で誤っているのはどれか。

a.頻脈

b.立位

c.硝酸薬投与

d.Valsalva 手技

e.ジソピラミド投与別冊No. 18 A、B

第120回D44 心エコー長軸像とMモード。心室中隔肥厚と僧帽弁の収縮期前方運動に注目
別冊No. 18A・B:心エコー長軸像とMモード / 出典:厚生労働省・第120回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

心エコーの心室中隔肥厚と僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)、胸骨左縁の収縮期雑音から、閉塞性肥大型心筋症を考えます。流出路閉塞は収縮力の増強や前負荷・後負荷の低下で強くなります。一方、ジソピラミドは陰性変力作用により流出路圧較差を減らすため、雑音増強因子として誤っているeが正答です。

画像の見方

長軸像では肥厚した心室中隔と左室流出路の関係を確認します。Mモードでは、僧帽弁が収縮期に中隔側へ動くSAMに注目します。圧較差の定量にはドプラ評価が必要で、提示された静止画像だけで数値を推定しません。

各選択肢の検討

a.頻脈:拡張期の充満時間が短縮し、左室内腔が小さくなることなどで閉塞と雑音が増強します。

b.立位:静脈還流と前負荷が低下し、流出路閉塞が強くなります。

c.硝酸薬投与:血管拡張による前負荷・後負荷の低下などで、閉塞と雑音を増強し得ます。

d.Valsalva手技:いきみの持続中には静脈還流が減少し、流出路閉塞による雑音が増強します。

e.ジソピラミド投与:心収縮力を抑えて流出路圧較差を軽減するので、増強因子ではありません。誤っているものを選ぶ本問の正答です。

覚えるポイント

固定性の狭窄と異なり、肥大型心筋症の流出路閉塞は血行動態に応じて変化します。「左室内腔が小さくなる・強く収縮する」と閉塞が増強することを軸に整理します。Valsalva手技は時相で反応が異なり、本問は通常のいきみ持続中の反応を問います。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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