第120回医師国家試験 D35(2026年)
正答:c
問題
35 歳の女性。全身性エリテマトーデス〈SLE〉を発症したが、ほぼ同時期にループス腎炎を併発したため入院し、グルココルチコイドによる治療が開始された。入院前から頭痛や気分の落ち込みの訴えがあったが、入院 3 日目から、日付や病室を間違えるようになり不安のため頻回にナースコールをするようになった。既往歴に統合失調症があり、10 年くらい前からリスペリドン 2 mg/日を服用している。脳波検査で全般性徐波がみられる。頭部単純 MRI 及び脳脊髄液検査では異常を認めない。最も考えられるのはどれか。
a.うつ病
b.パニック症
c.症状性精神障害
d.遅発性ジスキネジア
e.統合失調症の症状再燃
正答の理由
SLE・ループス腎炎の発症に伴って精神症状が現れ、新たに日付や病室を間違える見当識障害を認めています。全般性徐波も広い脳機能障害を示唆し、身体疾患に関連する症状性精神障害を考えるため、cが正答です。統合失調症の既往があっても、新たな意識・認知の変化をその再燃だけで説明してはいけません。
各選択肢の検討
a.うつ病:抑うつ気分はありますが、新規の見当識障害と全般性徐波を最もよく説明する選択肢ではありません。
b.パニック症:急な強い不安発作と身体症状が特徴で、本例の持続する見当識障害の説明にはなりません。
c.症状性精神障害:SLEなどの身体疾患に関連する精神・認知症状として、正答です。
d.遅発性ジスキネジア:抗精神病薬の長期使用などに伴う不随意運動で、今回は該当する運動症状がありません。
e.統合失調症の症状再燃:既往だけで再燃と判断せず、身体疾患・薬剤などの影響を優先して評価します。
覚えるポイント
SLE関連の神経精神症状は、MRIや髄液検査が正常でも否定できません。ただし徐波だけでSLEが原因と確定するわけでもありません。感染、代謝異常、薬剤性などを評価し、グルココルチコイド開始前からの症状と開始後の変化も区別します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。