第120回医師国家試験 D19(2026年)
正答:e
問題
43歳の女性。2週間前に受けた人間ドックの上部消化管内視鏡検査で異常を指摘され、精査のため来院した。体温36.8 ℃。脈拍84/分、整。血圧136/84 mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。全身のリンパ節に腫大を認めない。上部消化管内視鏡検査を施行したところ、胃体下部前壁に褪色調の浅い陥凹面を認めた。迅速ウレアーゼ試験陽性。生検組織の病理検査で胃粘膜関連リンパ組織〈MALT〉リンパ腫と診断された。全身精査の結果、胃以外に病変を認めなかった。まず行うべき治療はどれか。
a.胃全摘術
b.局所放射線照射
c.リツキシマブ治療
d.殺細胞性薬による治療
e.Helicobacter pylori除菌療法
正答の理由
迅速ウレアーゼ試験陽性でH. pylori感染を認め、胃以外に病変のない胃MALTリンパ腫です。この条件では、まずH. pyloriを除菌して病変の退縮を期待するため、eが正答です。菌による慢性的な免疫刺激が腫瘍の維持に関わる例では、感染源を取り除くことがリンパ腫の治療になります。
各選択肢の検討
a.胃全摘術:本例で最初に選ぶ治療ではなく、臓器を温存した治療を優先します。
b.局所放射線照射:H. pylori陰性例や、除菌後も治療を要する病変が残る場合などで検討します。本例ではまず除菌します。
c.リツキシマブ治療:病変の広がりや既治療への反応などに応じて用いられますが、この陽性限局例の初回治療としては除菌を選びます。
d.殺細胞性薬による治療:進行例などで検討する治療で、本問の第一選択ではありません。
e.Helicobacter pylori除菌療法:H. pylori陽性の限局期胃MALTリンパ腫の初回治療として、正答です。
覚えるポイント
胃MALTリンパ腫では病期だけでなくH. pylori感染の有無を確認します。除菌が成功したかと、リンパ腫が退縮したかは別々に評価します。除菌後も内視鏡・生検などで経過を確認し、残存・増悪や症状に応じて追加治療を判断します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。