第120回医師国家試験 D18(2026年)
正答:d
問題
70 歳の男性。筋肉痛と頭痛を主訴に来院した。 2 週間前から大腿と上腕の筋肉痛が出現し、起床時のこわばりがひどくて寝返りも打てないため受診した。左側に拍動性の頭痛があり、食事をしていると顎の痛みが出てくる。体温 37.2 °C。左浅側頭動脈に結節状の腫脹と圧痛を認める。両側の上腕に把握痛を認める。四肢の筋力低下を認めない。関節に腫脹と圧痛を認めない。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 295 万、Hb 9.8 g/dL、Ht 29 %、白血球 10,100、血小板 38 万。血液生化学所見:総蛋白 6.9 g/dL、 AST 29 U/L、 ALT 28 U/L、 LD 178 U/L (基準124〜222)、CK 66 U/L(基準 59〜248)、尿素窒素 21 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL。免疫血清学所見:CRP 8.6 mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体陰性、MPO‐ANCA 陰性、PR3‐ANCA 陰性。胸部エックス線写真で異常を認めない。診断に最も有用な検査はどれか。
a.脳波検査
b.呼吸機能検査
c.針筋電図検査
d.血管超音波検査
e.末梢神経伝導検査
正答の理由
70歳、新たな片側頭痛、食事中の顎の痛み(顎跛行)、浅側頭動脈の結節状腫脹・圧痛、炎症反応上昇から巨細胞性動脈炎を強く疑います。上腕・大腿の痛みと朝のこわばりは、併存するリウマチ性多発筋痛症を示唆します。診断には側頭動脈などの血管超音波検査が有用で、dが正答です。炎症性の血管壁肥厚(halo sign)などを評価します。
各選択肢の検討
a.脳波検査:てんかんなどの評価に用いますが、今回の動脈炎の診断を目的とする検査ではありません。
b.呼吸機能検査:呼吸器症状や肺疾患を評価する検査で、本問の第一選択ではありません。
c.針筋電図検査:筋疾患などの評価に用います。本例では筋力低下がなくCKも正常範囲で、頭痛・顎跛行・動脈所見を説明する血管の評価を優先します。
d.血管超音波検査:側頭動脈の壁肥厚などを確認でき、正答です。熟練した検者による評価が重要で、腋窩動脈も標準的な観察に含めます。
e.末梢神経伝導検査:末梢神経障害を評価する検査で、巨細胞性動脈炎を直接診断する検査ではありません。
覚えるポイント
高齢者の新規頭痛に顎跛行や側頭動脈の異常があれば、巨細胞性動脈炎を考えます。リウマチ性多発筋痛症様の痛みを伴うことがあります。視力障害の有無を確認し、失明につながる可能性を踏まえて迅速に専門診療へつなげます。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。