第120回医師国家試験 C66(2026年)
正答:b
問題
22 歳の女性。発熱を主訴に来院した。
現病歴 : 2 週間前から 39 °Cを超える発熱が連日出現し、 1 週間前に自宅近くの診療所を受診した。解熱鎮痛薬と抗菌薬が処方されたが、その後も発熱が続き、咽頭痛、膝と手指の関節痛も出現したため、受診した。
既往歴 : 3 歳時に肺炎。
生活歴 : 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴 : 特記すべきことはない。
現症 : 意識は清明。体温 39.4 °C。脈拍 112/分、整。血圧 98/50 mmHg。呼吸数 22/分。SpO2 96 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。左肋骨弓下に脾を 1 cm 触知する。両膝と近位指節間関節とに腫脹と圧痛を認める。四肢に径 1 〜 2 cm の淡い紅斑を複数認める。皮膚硬化を認めない。
検査所見 : 尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球 422 万、Hb 11.2 g/dL、Ht 42 %、網赤血球 2.2 %、白血球 16,300 (桿状核好中球 15 %、分葉核好中球 70 %、単球 6 %、リンパ球 9 %)、血小板 36 万。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、IgG 1,614 mg/dL (基準861〜1,747)、IgA 166 mg/dL (基準 93〜393)、IgM 166 mg/dL (基準 50〜269)、総ビリルビン 0.4 mg/dL、直接ビリルビン 0.2 mg/dL、AST 288 U/L、ALT 165 U/L、 LD 322 U/L(基準 124〜222)、 ALP 126 U/L (基準 38〜113)、 γ‐GT 32 U/L (基準 9 〜32)、CK 66 U/L(基準 41〜153)、尿素窒素 22 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、 尿酸 4.9 mg/dL、 血糖 98 mg/dL、 TSH 3.6 μU/mL (基準 0.2〜4.0)、FT3 2.8 pg/mL(基準 2.3〜4.3)、 FT4 1.6 ng/dL (基準 0.8〜2.2)、フェリチン2,266 ng/mL(基準 20〜120)。免疫血清学所見:CRP 12.2 mg/dL、抗核抗体陰性、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗 SS‐A 抗体陰性、C3 132 mg/dL (基準 52〜112)、C4 51 mg/dL (基準 16〜51)。血液培養は陰性。
この疾患の治療標的となるサイトカインはどれか。
a.IFN‐α
b.IL‐6
c.IL‐17
d.IL‐23
e.TNF‐α
正答の理由
成人発症スチル病は複数の炎症性サイトカインが関与する疾患です。IL-6はその一つで、既存治療で効果不十分な患者には抗IL-6受容体抗体トシリズマブが用いられるため、bが正答です。薬剤が結合するのはIL-6そのものではなくIL-6受容体です。
各選択肢の検討
a.IFN-α:本問で問われる代表的な治療標的としてはIL-6を選びます。
b.IL-6:受容体を阻害するトシリズマブが治療に用いられ、正答です。
c.IL-17:乾癬などで治療標的となりますが、本問の選択ではありません。
d.IL-23:同様に乾癬などで治療標的となり、本問では選びません。
e.TNF-α:炎症に関与し関節リウマチなどで治療標的となりますが、今回の標準的な選択はIL-6です。
覚えるポイント
IL-6だけが病態を決めるわけではなく、IL-1なども関与します。治療は病勢、臓器障害、既存治療への反応に応じて選び、感染症やマクロファージ活性化症候群にも注意します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。