第120回医師国家試験 B46(2026年)
正答:c
問題
60 歳の男性。肺癌で 2 週間後に右上葉切除術を予定されており、術前診察のために来院した。
現病歴 : 会社の定期健診で胸部エックス線写真の異常陰影を指摘され、精査の結果、手術予定となった。
既往歴 : 40 歳時に①胆囊摘出術を受けた。子供のころ、②キウイを食べて膨疹がでたので、それ以来、食べないようにしている。③インフルエンザワクチンを1か月前に接種した。
生活歴 : 喫煙は 20 本/日を 40 年間。会社の宴会などで飲酒の機会はあるが、自宅では週末に日本酒 1 合程度の晩酌のみ。自宅から駅まで 15 分程度、毎日歩いている。週末は散歩と軽い運動をしている。④趣味で熱帯魚を飼っている。外食などがなければ、午後 10 時には就寝し、午前 6 時に起床する。食事に好き嫌いはなく、間食もあまりしない。手術前で緊張のためか⑤ここ数日、食欲がない。
家族歴 : 母親は 90 歳で健在。大腸癌の手術歴がある。
現症 : 意識は清明。身長 166 cm、体重 58 kg。体温 36.6 °C。脈拍 80/分、整。血圧 140/80 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 98 % (room air)。皮膚は湿潤。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。開口は 2 横指。口腔内は湿潤。咽頭に異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺と頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、手術痕を認める。肝・脾を触知しない。腸雑音を聴取する。下肢に浮腫を認めない。神経診察で異常を認めない。
検査所見 : 血液所見:赤血球 468 万、Hb 13.9 g/dL、Ht 42 %、白血球 7,300、血小板 21 万、PT‐INR 1.0(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 7.6 g/dL、アルブミン 4.0 g/dL、AST 30 U/L、ALT 20 U/L、尿素窒素 12 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、血糖 98 mg/dL、HbA1c 6.0 % (基準 4.9〜6.0)、総コレステロール 204 mg/dL、HDL コレステロール 50 mg/dL、LDL コレステロール 115 mg/dL、Na 131 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 97 mEq/L、Ca 9 mg/dL。
周術期合併症を減らす上で、改善すべき生活習慣はどれか。
a.飲酒
b.運動
c.喫煙
d.食生活
e.睡眠時間
正答の理由
20本/日を40年間という喫煙歴があり、肺切除術を予定しています。喫煙は呼吸器合併症や創傷治癒の障害などのリスクを高めるため、改善すべき生活習慣はcです。手術まで2週間でも禁煙を開始し、術後も継続するよう支援します。十分な禁煙期間を取れないから禁煙しないという対応にはしません。
各選択肢の検討
a.飲酒:量や依存の有無は確認しますが、この症例の記載から周術期リスク低減のため最優先で改善する習慣は喫煙です。
b.運動:日常的な歩行や軽い運動をしており、運動そのものをやめることを選びません。病状に合わせた活動を考えます。
c.喫煙:肺切除術前の修正可能なリスク因子で、正答です。
d.食生活:最近の食欲低下は評価しますが、普段の食生活に大きな問題は記載されておらず、今回の最適な答えではありません。
e.睡眠時間:午後10時から午前6時まで約8時間で、今回最も改善すべき習慣として挙げる根拠はありません。
覚えるポイント
可能な限り早く禁煙を始め、長期に継続できるよう支援します。短期間の禁煙で周術期合併症が増えるとして喫煙継続を勧めることはありません。禁煙支援の方法は本人の状況に応じて検討します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。