第120回医師国家試験 A70(2026年)
正答:a・c
問題
4 歳の女児。皮疹、両足関節の痛み及び腹痛を主訴に父親に連れられて来院した。 1 週間前に発熱と咽頭痛が出現し、自宅近くの診療所を受診した。 2 日前から発疹と両足関節の痛みが出現した。今朝から腹痛を訴えているため受診した。体温36.9 °C。脈拍 68/分、整。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。 咽頭に発赤を認めない。扁桃に腫大を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、臍周囲に圧痛を認める。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球 466 万、Hb 12.1 g/dL、Ht 39 %、白血球 8,900 (好中球 62 %、単球 8 %、リンパ球 30 %)、血小板 37 万、 PT‐INR 1.0(基準 0.9〜1.1)、 APTT 29.0 秒(基準対照 32.2)。CRP 0.2 mg/dL。下腿の写真(別冊No. 32)を別に示す。この患児で注意すべき合併症はどれか。 2 つ選べ。
a.腎炎
b.冠動脈瘤
c.腸重積症
d.間質性肺炎
e.大動脈弁閉鎖不全別冊No. 32

正答の理由
上気道症状の後に、下肢の紫斑、足関節痛、腹痛が生じています。血小板数と凝固検査に異常がないことも合わせてIgA血管炎を考えます。重要な合併症は腎炎と腸重積症で、aとcを選びます。初診時に尿所見が正常でも、後から腎炎を発症することがあります。
画像の見方
両下腿から足背に赤紫色の斑が多発しています。分布と関節・消化管症状からIgA血管炎を支持します。写真だけでは触知可能かどうかを判断できず、皮膚の触診や必要に応じた検査を合わせます。
各選択肢の検討
a.腎炎:血尿・蛋白尿などに注意し、初診時正常でも尿検査や血圧を経時的に確認します。正答です。
b.冠動脈瘤:主に川崎病で重要な合併症で、今回の病態の代表的な選択肢ではありません。
c.腸重積症:腸管壁の浮腫・出血などに伴って生じ得ます。腹痛の増悪、嘔吐、血便などがあれば評価します。正答です。
d.間質性肺炎:今回、特に注意する代表的な2つの合併症には該当しません。
e.大動脈弁閉鎖不全:今回のIgA血管炎で優先して選ぶ合併症ではありません。
覚えるポイント
IgA血管炎では皮膚・関節・消化管・腎臓を合わせて評価します。紫斑が軽快しても腎症状の経過観察が必要です。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。