第120回医師国家試験 A56(2026年)
正答:d
問題
22 歳の女性。右乳房のしこりを主訴に来院した。右乳房に長径約 2 cm の卵形の腫瘤を触知する。腫瘤は表面平滑で弾性硬、可動性は良好で圧痛を認めない。乳頭からの分泌物を認めない。乳房超音波像(別冊No. 24)を別に示す。最も考えられるのはどれか。
a.乳癌
b.乳腺症
c.乳管内乳頭腫
d.乳腺線維腺腫
e.乳房 Paget 病別冊No. 24

正答の理由
22歳で、卵形・表面平滑・可動性良好な約2 cmの腫瘤を認め、超音波でも横長の比較的境界明瞭な低エコー腫瘤がみられることから乳腺線維腺腫を考えます。線維腺腫は若年者に多い良性腫瘍です。ただし、年齢や可動性だけで悪性疾患を除外せず、画像所見や増大傾向に応じて組織診断を検討します。
画像の見方
皮膚面におおむね平行な横長の低エコー腫瘤で、境界は比較的明瞭です。線維腺腫に合う像ですが、超音波のみで病理組織型を確定するものではありません。増大する場合や非典型的な所見がある場合には葉状腫瘍なども含めて再評価します。
各選択肢の検討
a.乳癌:本例では年齢、診察所見、画像から線維腺腫を優先します。ただし若年者にも生じるため、年齢だけで否定はできません。
b.乳腺症:乳腺の非腫瘍性の変化を含む病態で、今回の限局した可動性良好な腫瘤の第一候補ではありません。
c.乳管内乳頭腫:乳頭分泌や乳管内病変が手掛かりとなります。今回その情報は示されていません。
d.乳腺線維腺腫:若年女性の平滑でよく動く腫瘤と、横長・境界明瞭な低エコー像に合致します。
e.乳房Paget病:主に乳頭・乳輪の湿疹様変化などが手掛かりです。本例の腫瘤所見とは異なります。
覚えるポイント
線維腺腫を疑っても、増大の速さ、画像の変化、症状、患者の状況に応じて対応します。良性らしい画像だから必ず無検査でよい、とは判断しません。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。