第120回医師国家試験 A48(2026年)
正答:a
問題
78 歳の女性。労作時の息切れを主訴に来院した。 6 か月前から咳嗽を自覚し、1 か月前から労作時の息切れが出現した。体温 36.5 °C。脈拍 92/分、整。血圧136/90 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 92 % (room air)。両側下肺野に fine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球 467 万、Hb 13.8 g/dL、Ht 41 %、白血球 3,800、血小板 32 万。CRP 0.1 mg/dL。胸部エックス線写真(別冊No. 21A)、胸部単純CT(別冊No. 21B)及び気管支肺胞洗浄液の写真(別冊No. 21C)を別に示す。考えられる疾患はどれか。
a.肺胞蛋白症
b.特発性肺線維症
c.サルコイドーシス
d.ニューモシスチス肺炎
e.びまん性汎細気管支炎別冊No. 21 A〜C



正答の理由
咳嗽、労作時呼吸困難、低酸素血症に加え、CTのすりガラス影と網状影の重なり、白く濁った気管支肺胞洗浄液が肺胞蛋白症を支持します。肺胞内にサーファクタント由来の物質が蓄積する疾患です。画像だけでなく洗浄液・病理所見を合わせて診断し、抗GM-CSF抗体などで病型も評価します。
画像の見方
胸部写真では両肺に広がる陰影があり、CTではすりガラス影に小葉間隔壁などの網状影が重なったcrazy-paving様の所見と、比較的保たれた肺との境界がみられます。洗浄液は白く濁っています。Crazy-pavingは肺胞蛋白症に特異的ではないため、洗浄液所見との組合せが重要です。
各選択肢の検討
a.肺胞蛋白症:CT所見と米のとぎ汁様に白濁した洗浄液の組合せに合致します。
b.特発性肺線維症:典型的には胸膜直下・肺底部優位の線維化や蜂巣肺などを評価します。今回の洗浄液の外観を含めると肺胞蛋白症を優先します。
c.サルコイドーシス:肺門・縦隔リンパ節腫大や気管支血管束・リンパ路に沿う粒状影などを手掛かりとします。今回の組合せとは異なります。
d.ニューモシスチス肺炎:免疫不全を背景にびまん性すりガラス影や低酸素血症を来しますが、免疫抑制の情報がなく、白濁した洗浄液と合わせて肺胞蛋白症を考えます。
e.びまん性汎細気管支炎:慢性の咳・喀痰、副鼻腔炎、びまん性の小葉中心性粒状影などが手掛かりです。本例の主所見と異なります。
覚えるポイント
肺胞蛋白症は単一のCTサインで決めず、白濁した洗浄液や細胞・病理所見を組み合わせます。年齢だけで先天性・自己免疫性・続発性の病型を確定しないことが重要です。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。