第120回医師国家試験 A46(2026年)
正答:a
問題
2 歳の女児。早産児の定期外来のため母親に連れられて来院した。出生歴は、在胎 29 週、体重 1,020 g、Apgar スコアは 7 点( 1 分)、 8 点( 5 分)で出生した。NICU に約 4 か月間入院した。入院中に光線療法を 2 日間行った。退院後は外来で定期的に経過観察されており、独歩がまだできない。意識は清明。身長 82 cm、体重 10.5 kg。 体温 37.1 °C。 脈拍 112/分、 整。 呼吸数 26/分。 SpO2 98 % (room air)。頭囲の拡大は認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。皮膚に異常を認めない。下肢に筋緊張と腱反射の亢進を認め、尖足位である。Babinski 徴候は陽性である。頭部単純 MRI の T2 強調像(別冊No. 19)を別に示す。最も考えられるのはどれか。
a.脳性麻痺
b.Chiari 奇形
c.結節性硬化症
d.脊髄小脳変性症
e.先天性筋ジストロフィー別冊No. 19




正答の理由
在胎29週で出生し、2歳で独歩ができず、下肢の筋緊張・腱反射亢進、尖足、Babinski徴候を認めます。下肢優位の上位運動ニューロン障害であり、MRI所見と合わせて脳室周囲白質軟化症を背景とする痙直型の脳性麻痺を考えます。早産という背景だけで診断するのではなく、運動発達、神経所見、画像を組み合わせます。
画像の見方
側脳室周囲の白質にT2高信号があり、白質の容量低下に伴う側脳室の拡大・輪郭の不整がみられます。早産児の脳室周囲白質障害の慢性期像として整合します。脳室が広いという一点だけで圧上昇を伴う水頭症と判断せず、白質の状態と頭囲・臨床所見を合わせます。
各選択肢の検討
a.脳性麻痺:発達期の脳障害に基づく姿勢・運動の障害で、本例の早産歴、下肢痙性、MRI所見に合致します。
b.Chiari奇形:小脳扁桃など後頭蓋窩構造の下方偏位を評価する病態です。提示画像と症候の主な説明にはなりません。
c.結節性硬化症:皮質結節、上衣下結節、皮膚所見などが手掛かりです。本例にはそれを第一に考える所見が示されていません。
d.脊髄小脳変性症:運動失調などを呈する進行性疾患群です。本例の早産に関連した白質障害と下肢痙性からは優先しません。
e.先天性筋ジストロフィー:筋力低下や筋緊張低下を主徴とする筋疾患です。本例の腱反射亢進・Babinski徴候は中枢性の障害を示します。
覚えるポイント
脳性麻痺の原因となる脳障害自体は非進行性でも、成長に伴い筋緊張や関節・歩行の問題は変化します。画像だけで将来の歩行能力を断定せず、継続的な発達評価と支援を行います。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。