第120回医師国家試験 A42(2026年)
正答:c
問題
85 歳の女性。左眼痛と頭痛を主訴に来院した。昨夜から左眼の視力低下と激しい頭痛があり、悪心と嘔吐も出現している。視力は右眼 0.2 (1.2 ×+ 3.5 D)、左眼手動弁(矯正不能)。左眼の細隙灯顕微鏡写真(別冊No. 16)を別に示す。対応で適切でないのはどれか。
a.縮瞳薬点眼
b.水晶体摘出術
c.アトロピン点眼
d.高浸透圧利尿薬点滴
e.炭酸脱水酵素阻害薬内服別冊No. 16


正答の理由
急激な眼痛・視力低下、頭痛、悪心・嘔吐から急性閉塞隅角発作を疑います。写真も浅い前房、角膜混濁、中等度の散瞳を示唆します。アトロピンは抗コリン作用で散瞳し、隅角閉塞を悪化させるおそれがあるため不適切です。緊急に眼圧を下げ、発作の機序に応じた処置を行います。
画像の見方
充血した眼と、混濁した角膜を通した中等度に開いた瞳孔がみられます。光学切片像では角膜と虹彩の間隔が狭く、浅前房を示唆します。眼圧の数値は設問にないため、実際の診療では眼圧測定や前房・隅角の評価が必要です。
各選択肢の検討
a.縮瞳薬点眼:瞳孔ブロックが関与する発作で用います。極めて高い眼圧では反応が乏しい場合があり、眼圧下降と合わせて眼科医が時期を判断します。
b.水晶体摘出術:水晶体による前眼部の混雑を改善する治療です。急性期の眼圧・炎症や機序を評価し、適切な時期に検討します。
c.アトロピン点眼:散瞳により瞳孔ブロックや隅角閉塞を悪化させ得るため、今回の不適切な選択肢です。
d.高浸透圧利尿薬点滴:急性の眼圧下降に用いる選択肢です。心機能・腎機能などを確認して使用します。
e.炭酸脱水酵素阻害薬内服:房水産生を抑え、眼圧下降に用います。全身状態や禁忌を確認します。
覚えるポイント
急性の眼痛と視力低下に頭痛・嘔吐を伴うときは眼科救急を考えます。散瞳薬は、浅前房・狭隅角で発作を誘発または悪化させ得ます。すべての緑内障を同一の機序として扱わないことが重要です。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。