顔貌変化と手足の増大から考えるIGF-I高値|第120回医師国家試験A35

第120回医師国家試験 A35(2026年)

正答:c

問題

54 歳の男性。口腔内の違和感を主訴に来院した。 2 年前から口唇の肥厚と下顎の突出を自覚し、その後、靴のサイズが約 1 cm 大きくなり、指輪が外れなくなった。既往歴に高血圧症があり内服治療中である。また、睡眠時無呼吸症候群で通院中である。意識は清明。身長 162 cm、体重 72 kg。体温 36.5 °C。脈拍 96/分、整。血圧 120/90 mmHg。矯正視力は右 1.5 左 0.2。顔面は、眉弓突出、口唇肥大および下顎突出を認め、口腔内は舌の腫大を認める。血液所見:赤血球 366 万、白血球4,200、血小板 20 万。血液生化学所見:総蛋白 7.6 g/dL、アルブミン 4.4 g/dL、総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 18 U/L、ALT 15 U/L、尿素窒素 22 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、空腹時血糖 111 mg/dL、HbA1c 6.3 % (基準 4.9〜6.0)、Na 140 mEq/L、K 4.1 mEq/L、Cl 104 mEq/L。頭部造影 MRI の T 1 強調矢状断像(別冊No. 12A)と頭部単純 MRI の T 2 強調冠状断像(別冊No. 12B)とを別に示す。この患者の内分泌検査所見で異常高値を認めるのはどれか。

a.ACTH

b.FT3

c.インスリン様成長因子 ‐I 〈IGF‐I〉

d.LH

e.TSH別冊No. 12 A、B

別冊No.12A:トルコ鞍内から鞍上部に及ぶ腫瘤の造影T1強調矢状断像
出典:厚生労働省・第120回A別冊(原本の該当ページ)
別冊No.12B:下垂体部腫瘤のT2強調冠状断像
出典:厚生労働省・第120回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

眉弓突出、口唇肥大、下顎突出、巨大舌に加え、靴や指輪が合わなくなる経過から先端巨大症を考えます。下垂体腫瘍による成長ホルモン(GH)の過剰が主な原因で、GHの作用を受けて産生されるインスリン様成長因子I(IGF-I)が高値となります。高血圧、耐糖能異常、睡眠時無呼吸も合併し得ます。

画像の見方

両画像でトルコ鞍内から鞍上部に及ぶ腫瘤を認めます。造影像では腫瘤の増強、T2強調像では内部信号の不均一性がみられます。MRIだけで分泌ホルモンは決められません。特徴的な身体変化と内分泌検査を合わせてGH産生下垂体腫瘍を評価します。視力低下があっても、この設問には視野検査結果がなく両耳側半盲と断定はできません。

各選択肢の検討

a.ACTH:副腎皮質を刺激するホルモンです。本例の手足の増大や顔貌変化を説明するホルモンではありません。

b.FT3:甲状腺ホルモンです。甲状腺機能亢進症の典型的な症候よりも、先端巨大症の身体所見を重視します。

c.IGF-I:GHの作用を反映して高値となります。判定は年齢などに応じた基準で行います。

d.LH:性腺刺激ホルモンです。この病態で特徴的に上昇するものではありません。大きな下垂体腫瘍では他の下垂体機能が低下する場合もあります。

e.TSH:甲状腺刺激ホルモンです。今回の症候から、その過剰分泌を第一に考えるものではありません。

覚えるポイント

顔貌変化、巨大舌、靴・指輪のサイズ変化が先端巨大症の手掛かりです。GHは変動するためIGF-Iと併せて評価し、必要に応じてブドウ糖負荷によるGH抑制を調べます。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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