第119回医師国家試験 E50(2025年)
正答:c
問題
17歳の男子。胸痛を主訴に来院した。
現病歴:昨日午後、高校の授業中に左胸部痛と呼吸困難を自覚し、当院を受診し、胸部エックス線撮影を施行された。一旦帰宅したが、本日朝になっても軽度の左胸痛が持続するため、再度受診した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:両親、大学生の兄と同居。アレルギー歴はない。
現症:意識は清明。身長182 cm、体重66 kg。体温36.5 °C。脈拍80/分、整。血圧110/78 mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96 %(room air)。心音に異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球500万、Hb 14.9 g/dL、Ht 45 %、白血球8,300、血小板29万。血液生化学所見:AST 21 U/L、ALT 18 U/L、LD 180 U/L(基準124〜222)。本日来院時の胸部エックス線写真(別冊No.6A)と胸部単純CT(別冊No.6B)とを別に示す。
昨日と本日の胸部エックス写真を比較して、大きな変化は認められなかった。
適切な治療方針はどれか。
a.抗菌薬投与
b.昇圧薬投与
c.外来で経過観察
d.気管支拡張薬吸入
e.緊急胸腔鏡下手術


正答の理由
軽度の胸痛のみで、呼吸・循環状態は安定し、翌日にも気胸の増大がありません。選択肢ではcの外来経過観察が適切です。再診日を決め、胸痛・呼吸困難が強くなった場合はすぐ受診するよう説明します。
画像の見方
胸部写真では左肺尖から外側に胸膜線がみられ、その外側の血管陰影が消失しています。CTでも左胸腔前方の空気と肺の軽度虚脱を確認できます。大きな縦隔偏位はなく、小さな左気胸として臨床症状と経時変化を合わせて判断します。
各選択肢の検討
a.抗菌薬:細菌感染を示す病態ではありません。
b.昇圧薬:血圧低下はなく、投与の適応ではありません。
c.外来で観察:正しい。小さく安定した気胸で症状が軽度です。
d.気管支拡張薬:胸腔の空気を除去する治療ではありません。
e.緊急胸腔鏡手術:呼吸循環障害や増大、持続する空気漏れなどがなく、緊急手術を要する状況ではありません。
覚えるポイント
気胸の大きさだけでなく症状・生理学的な安定性・増大の有無を判断します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。