第118回医師国家試験 B50(2024年)
正答:a
問題
78歳の女性。食欲不振のため救急車で搬入された。
現病歴:約1週間前から食事摂取が減少し一日中ベッドに横になっていることが多くなった。昨日から食事摂取が困難となったため、夫が救急車を要請した。
既往歴:約25年前に高血圧症、約2年前にAlzheimer型認知症および骨粗鬆症と診断された。3か月前に左大腿骨転子下骨折に対して手術が行われた。アンジオテンシン受容体拮抗薬〈ARB〉、カルシウム拮抗薬、活性型ビタミンD製剤およびコリンエステラーゼ阻害薬を服用している。
生活歴:夫と2人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父が脳梗塞、母が脳出血。
現症:意識レベルはJCSII‐10。身長151 cm、体重46 kg。体温36.4 °C。心拍数100/分、整。血圧108/78 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 95 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)。血液所見:赤血球320万、Hb 10.1 g/dL、Ht 30 %、白血球7,200、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白7.1 g/dL、アルブミン3.6 g/dL、総ビリルビン0.6 mg/dL、AST 23 U/L、ALT 12 U/L、LD 184 U/L(基準値124〜222)、尿素窒素41 mg/dL、クレアチニン1.0 mg/dL、血糖110 mg/dL、Na 146 mEq/L、K 3.8 mEq/L、Cl 103 mEq/L、Ca 13.6 mg/dL。CRP 0.2 mg/dL。
頭部単純CTで異常を認めなかった。
初期治療に用いるべきものはどれか。
a.生理食塩液
b.点滴用蒸留水
c.50 % ブドウ糖液
d.炭酸水素ナトリウム液
e.グルコン酸カルシウム液
正答の理由
aです。高Ca血症による尿濃縮障害や摂取不足で脱水が進むため、生理食塩液で循環血液量を補い、腎からのCa排泄を促します。高齢者では心・腎機能と尿量をみながら輸液量を調整し、活性型ビタミンD製剤など原因薬を中止・見直します。
各選択肢の検討
a.生理食塩液:等張液で脱水を補正する初期治療として適切です。
b.点滴用蒸留水:単独の静脈内投与は溶血などの危険があり、不適切です。
c.50%ブドウ糖:低血糖はなく、高Caに伴う脱水の初期補液として適しません。
d.炭酸水素Na:重いアシドーシスなどの適応が示されず、高Ca血症の初期補液ではありません。
e.グルコン酸Ca:Caをさらに上昇させるため不適切です。
覚えるポイント
補液での循環回復を図り、重症度と反応に応じてCaを下げる追加治療を検討します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。